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イランの核合意骨抜きに国際社会反発 23日から査察停止

 【カイロ=佐藤貴生】イラン核合意の履行状況を検証している国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は16日、イランが23日から抜き打ち査察の受け入れを停止すると通告してきたことを明らかにした。ロイター通信などが伝えた。核開発の完全な検証が困難になる恐れがあり、合意当事国ドイツの外交筋が「まったく受け入れられない」と述べるなど、国際社会の反発が強まっている。

 イランは2015年の核合意に基づき、抜き打ち査察を認める「追加議定書」を自発的に履行してきた。しかし、同国の国会では昨年12月初め、欧米などのイランに対する姿勢が変わらなければ、議定書の履行を停止するよう政府に義務付ける法律が成立した。

 同国は最近、さまざまな合意違反を重ねている。IAEAは今月上旬、イランが金属ウラン3・6グラムを製造したことを確認した。核爆弾製造に使われる可能性がある金属ウランは合意で15年間、製造や獲得が禁止されている。1月上旬には合意規定の濃縮度3・67%を大幅に超える20%のウラン製造を始めた。

 欧州などとの原油・金融部門の取引正常化を狙うイランはバイデン米政権に対し、トランプ前政権が科した制裁の解除を要求。違反行為を次々と行うことで、米側に圧力をかけている形だ。バイデン政権は前政権で離脱した核合意に復帰する意向だが、イランが核合意の規定を順守するのが先だと主張。復帰の道筋は見えていない。

 その一方で、緊張緩和のきっかけとなり得る動きも出ている。バイデン米大統領は今月上旬、イエメン内戦を「終わらせるべきだ」と述べ、15年から内戦に介入している親米のサウジアラビアなどへの軍事支援を停止すると述べた。

 サウジなどは内戦で、イランと連携するイスラム教シーア派系の民兵組織フーシ派と戦っている。バイデン政権は「世界最悪の人道危機」(国連)の解決のため、トランプ前政権が行ったフーシ派の「テロ組織」指定も解除する意向を表明。こうした動きについて、イランのザリフ外相は、「(米国が)過去の誤りをただす一歩になりうる」と評価した。

 ただ、米側は将来、イランのミサイル開発や周辺国への影響力行使に制限を課す協議もイランと行う方針で、同国側は警戒を強めている。双方の隔たりは簡単には埋まりそうにない。

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