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15日に事務局長決定のWTO、米中対立の難題に直面

ナイジェリアのオコンジョイウェアラ元財務相
ナイジェリアのオコンジョイウェアラ元財務相

 【ロンドン=板東和正、ワシントン=塩原永久】オコンジョイウェアラ新事務局長体制が始動する世界貿易機関(WTO)は、米国と中国の対立という難題に直面する。バイデン米政権が国際機関重視の立場からWTOを舞台に対中圧力を強める構えを示す一方、中国もWTOへの影響力を強化。米中がWTO改革をめぐり、綱引きを続ける中、WTOは難しいかじ取りを迫られそうだ。

 「(世界の貿易システムを機能させるには)米国の積極的な参加が不可欠だ」

 米国出身のウルフWTO事務次長は9日、米通商団体が開いたオンライン討論会でWTO改革をバイデン政権が主導する姿勢を強調した。中国による知的財産権の侵害など貿易をゆがめる問題に対処できる十分な機能をWTOに持たせる改革をすべきだと主張した。

 バイデン政権は、中国などがWTOに「発展途上国」と申告し、先進国から関税免除などの優遇を受けている状況の見直しも迫る意向だ。同政権はかつてWTOで対中紛争を担当した通商代表部(USTR)高官のタイ氏を次期USTR代表に指名し、中国への対抗姿勢を強める。

 ただ、WTO内で力を強める中国は米国が主張する改革案に抵抗する可能性が高い。2001年の加盟以来、中国はWTOへの影響力を強め、貿易問題をめぐる主張が認められるケースが目立ち始めた。WTOの紛争処理小委員会(パネル)は昨年9月、米国のトランプ前政権が中国製品に課した高関税を不当とする報告書を公表した。

 こうした中、オコンジョイウェアラ氏は「米中の板挟み」になることが予想される。

 中国への優遇措置やWTOの上級委員会が強い権限を行使して加盟国を縛ることに不満を募らせたトランプ前政権は上級委の補充人事に反対。任期切れとなった委員の補充ができず、WTOは2019年12月以降、新規の紛争処理手続きが行えない状態に陥った。

 紛争処理機能を回復したいオコンジョイウェアラ氏は、バイデン政権が委員補充を「WTO改革を迫る駆け引き材料にする」(米通商筋)可能性も念頭に、上級委の「越権行為」や中国が途上国扱いになっている問題などについて、米国に同調する姿勢をアピールしている。

 一方でオコンジョイウェアラ氏は、事務局長選で早い段階から同氏を支持した中国の存在も無視しにくい。中国の影響力が増すアフリカを代表する立場として、中国に配慮した運営を進める恐れもある。同じアフリカ出身で、中国の新型コロナウイルス対策を擁護したと批判された世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長の「二の舞になる」(英専門家)との指摘も出ている。

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