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【主張】米露の延長合意 中国なき核軍縮は疑問だ

 米国とロシアは、2月5日に失効期限が迫っていた新戦略兵器削減条約(新START)の延長で合意した。バイデン米大統領とプーチン露大統領は電話会談し、5年間延長を確認した。

 核大国である米露間に唯一残っていた核軍縮条約が延命することになるが、手放しで喜べない。核戦力の強化に動いている中国が加わっていないという由々しき問題があるからだ。

 中国の核戦力増強が急速に進めば、中国を抜きにした条約がかえって米中露間の核バランスを歪(ゆが)めて、日本を含む世界の平和を脅かすことさえ懸念される。

 新STARTは2011年2月に発効した。米露それぞれの戦略核弾頭の配備上限を、それ以前の2200発から1550発へ減らし、射程5500キロ超の大陸間弾道ミサイル(ICBM)など3種類の核弾頭運搬手段の上限を未配備を含め800基・機とした。双方の核ミサイル基地などの査察も盛り込まれている。

 留意すべきは、新STARTは他の核保有国と比べ米露の核戦力が圧倒的だった時代の産物であり、今の安全保障情勢に適合していない、という点だ。

 現時点でも米露の核戦力は中国を上回るが、これからはわからない。中国は世界第2位の経済大国となり、核・ミサイル戦力の軍拡を続けている。

 米国防総省は昨年9月公表の中国軍事力に関する年次報告書で、中国が持つ核弾頭数を200発台前半とし、今後10年で「少なくとも倍増すると推定」した。米国に届くICBMは今後5年間で現在の約100基から約200基へ増えるとの見通しも示した。

 米国の対中核抑止力が弱まれば米国の「核の傘」に依存する日本の安全は損なわれる。核攻撃の直接的抑止だけではない。非核保有国の日本は通常戦力の自衛隊で中国から尖閣諸島を守る方針だが、米国の核抑止力を前提としている点も忘れてはならない。

 米露は射程500~5500キロの中距離核戦力(INF)の全廃条約を19年8月に失効させた。現時点でも米国はINFを持たないが、条約に縛られなかった中国は中距離ミサイルを1250基以上保有し、脅威となっている。

 戦略核、中距離核などの軍縮はこれを頑(かたく)なに拒む中国を参加させることを最優先にすべきだ。

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