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「中国の核」棚上げの新START延長 協議停滞なら脅威は増大

(左から)バイデン米大統領(ロイター=共同)、ロシアのプーチン大統領
(左から)バイデン米大統領(ロイター=共同)、ロシアのプーチン大統領

 米国とロシアは新戦略兵器削減条約(新START)の5年間延長で合意し、米露間に唯一残された核軍縮条約を喪失するという事態は回避された。しかし、条約の単純延長で、トランプ前政権が模索した、中国の核戦力を大国間の軍備管理の枠組みに取り込む試みは当面棚上げされ、インド太平洋地域での米中の軍事バランスをめぐる懸念の解消も先送りされる公算が大きくなった。

 2011年2月に発効した新STARTは、米露の戦略核弾頭の配備数を1550、大陸間弾道ミサイル(ICBM)や戦略爆撃機などの核弾頭の運搬手段の総数を800に制限している。ただ、未配備の戦略核弾頭や短距離弾道ミサイルなどに搭載する戦術核は条約の枠外となっている。

 また、中国は新STARTや米露の中距離核戦力(INF)全廃条約(19年8月に失効)に縛られることなく核戦力を増強させ、特にグアムや南シナ海をにらんで短・中距離核の配備を活発化させた。そのためトランプ前政権は新STARTを発展させ、中国も加えた包括的な核軍縮の枠組み構築を提唱していた。

 ただ、中国は保有核弾頭数が約200個(米国防総省推計)程度であることなどを論拠に、「米露による一層の核軍縮が先決」などとし、トランプ前政権から要請された核協議への参加を拒否した経緯がある。

 今後、中国を核軍縮に参加させる取り組みが停滞すれば、インド太平洋での中国の軍事的脅威の増大につながるのは必至で、バイデン政権には新たな取り組みが求められる。

 ロシアは新STARTの撤廃で米露の核軍拡競争の激化で、経済力の差から最終的に米国に敗れることを懸念し、米前政権に「無条件での5年延長」を訴えていた。条約が撤廃されれば米国も核軍拡で大きな財政負担を強いられる恐れはあったが、ロシアの財政事情を勘案すれば、条約延長は結果としてロシア側に有利に働いた可能性が高い。

 一方、INF全廃条約が失効する事態となったのは、ロシアが射程500~5500キロの地上配備型ミサイルの開発や配備を禁じた同条約に違反し、東欧にあるロシアの飛び地領カリーニングラードに巡航ミサイルを配備したことに米前政権が反発したためだ。

 米国は核戦力をめぐるロシアの行動に根強い不信感を抱き、ロシアが実質的な信頼醸成措置を講じるかを注視している。(ワシントン 黒瀬悦成)

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