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【アメリカを読む】ワクチン拒否に米医療史の「暗部」影響? 根深い黒人の不信感

 ただ、米NBCテレビ(電子版)によると、黒人のコロナウイルスによる入院率は白人の3・7倍。死亡率は2・8倍になるという。黒人は医療保険の加入率が低く、持病を持つ人が多いためと考えられるが、にもかかわらず、なぜ黒人の人々はワクチンに抵抗感を抱くのだろうか。

医療発展の裏で

 黒人があまり接種に積極的ではない理由の背景には、過去に黒人が医療発展の犠牲となった暗い歴史があるとみる向きがある。

 NBCによると、その一つがいわゆる「タスキーギ梅毒実験」と呼ばれるものだ。政府の承認のもと、アラバマ州タスキーギで1930年代から70年代まで約40年間にわたって黒人を対象に行われた。

 この実験は、無料で医療を提供するとして集めた梅毒患者らの病状がどのように悪化するかを観察するのが目的だった。失明や精神錯乱、合併症といった症状があらわれても実質的な治療は行われず、100人以上の被験者が死亡。配偶者らへの感染拡大も放置され、多くの母子感染も引き起こしたという。

 「婦人科医学の父」として知られる19世紀の医師、J・マリオン・シムズは、黒人奴隷の女性に対して麻酔なしで実験的な手術を施したなどとして、近年では非難の対象になっている。

 51年に黒人女性から無断で採取されたガン細胞の研究結果やゲノム情報が、患者本人や家族の同意なしで公開されていたといった事案もある。この研究はガン治療や疫学などの進展に大きな役割を果たしたとされる半面、黒人への根深い差別意識があらわれているとも受け止められた。

 ジョンズ・ホプキンズ病院のアリソン・アグウ医師はNBCの取材に、「過去に起きたことは現代でもありえる。気を付けなければ未来にも継続されていく」と述べ、過去に医療発展の名目で被害者となってきた黒人の懸念を代弁してみせる。

 また、米国の公衆衛生政策を指揮するアダムス医務総監は米CBSテレビの番組で自らの黒人としての生い立ちを振り返りながら、「(黒人の)不信感は(医療の)現場に起因していることを理解する必要がある」と訴えた。

 英国や米国では、新型コロナワクチンの接種で強いアレルギー反応が引き起こされたとみられる事案も起きた。保健当局や製薬会社が真摯(しんし)な態度で臨まなければ、人々の不信感が増幅する可能性を秘めている。

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