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苦境の中、正恩氏がすがったのは伝統の党の権威

北朝鮮の朝鮮労働党大会で党総書記に就任した金正恩氏(中央)=10日、平壌(朝鮮中央通信=共同)
北朝鮮の朝鮮労働党大会で党総書記に就任した金正恩氏(中央)=10日、平壌(朝鮮中央通信=共同)
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 【ソウル=桜井紀雄】北朝鮮の朝鮮労働党大会で採択された決定書は最高指導者の金正恩(キム・ジョンウン)氏について北朝鮮の「国力と地位を短期間に最上の境地に引き上げた」と称賛した。だが、現実は対米交渉の頓挫や国際社会からの制裁、新型コロナウイルス対応で苦境に直面。そこで活路を見いだそうとしたのが、父や祖父が用いた「総書記」という権威ある肩書を引き継ぎ、“党政の復古”を誇示する回帰路線だった。

 北朝鮮にとって正恩氏の肩書は最大の悩みの一つだった。正恩氏は父、金正日(ジョンイル)氏の死去を受け、2012年に「党第1書記」に就任するが、同時に正日氏を神聖視するために「永遠の総書記」にまつり上げており、総書記の呼称を避けるための苦肉の策だった。16年の前回党大会で「党委員長」を創出したのも、父とは違う指導者像を印象づける狙いだったとみられる。

 決定書は正恩氏が「経済の自立化に向けて導き、大革新時代を切り開いた」と強調。外交についても「世界政治の流れを有利に主導している」とたたえた。だが、親密さを誇ったトランプ米大統領とも19年の首脳再会談で物別れになり、バイデン次期大統領の登場は米朝交渉の頓挫を決定づけた。経済目標が遠く達成できなかったことを正恩氏自身が党大会で認めている。

 斬新さを追い求めるより、党中心の伝統的支配体制を一層強化し、最大の難局をやり過ごす路線にかじを切ったと読み取れる。

 対米外交の頓挫は人事にも波及した。米国や韓国との交渉を主導した金英哲(ヨンチョル)党副委員長は、同格の書記への横滑りではなく、格が下の部長職に就任。対米協議を任されてきた崔善姫(チェ・ソンヒ)第1外務次官も中央委員から候補委員に降格された。韓国当局者は「米朝や南北交渉の停滞の責任を問われたのではないか」と分析する。

 各分野を統括してきた10人の副委員長制は新たな書記体制では7人に絞られ、対韓担当書記を置かない可能性がある。一方、対中国外交を担う金成男(ソンナム)国際第1副部長が部長に昇格。米国と対立する中国の習近平政権への依存を北朝鮮が一層深めていくと予測される。

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