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米欧新興企業がワクチンをスピード開発 最先端の遺伝子技術が可能に

 【パリ=三井美奈】米国や欧州で昨年12月に接種が始まった新型コロナウイルスのワクチンは、ゲノム解析から1年足らずで実用化された。異例のスピード開発は、メッセンジャーRNA(mRNA)というリボ核酸を使った最先端の遺伝子技術が可能にした。

 欧州連合(EU)で12月27日、接種が始まったワクチンは米製薬大手ファイザーとドイツのバイオ企業ビオンテックが共同開発した。米国ではこのワクチンに加え、米バイオ企業モデルナのワクチンも投与が始まっている。いずれも、mRNAを活用したワクチンだ。ドイツの別のバイオ企業、キュアバックも12月21日、開発中のmRNAワクチンで、臨床試験の最終段階となるフェーズ3入りを発表した。

 mRNAは、タンパク質を作り出す「設計図」となる物質。ワクチンは、mRNAを体内に投与することで、抗原となるタンパク質を人工的に合成する仕組みだ。従来型ワクチンは、弱体化したウイルスを投与するため、製造には大量のウイルス培養が必要だが、mRNAワクチンはウイルスの配列が分かれば比較的短時間で開発が可能。病原体であるウイルスを体内に入れないため、安全性にも優れているとされる。

 ビオンテックは2008年、モデルナは10年に設立。それぞれ、がんや心疾患のワクチン開発でmRNA技術を蓄積してきた。モデルナが、人への初の治験となるフェーズ1を開始したのは昨年3月。新型コロナのゲノム配列が最初に公開されてから、わずか2カ月後だった。

 1990年代からmRNA研究に取り組むスイス・チューリヒ大のスティーブ・パスコロ研究員は仏紙で「mRNAは脆弱(ぜいじゃく)だという偏見があるが、誤りだ。皮膚や水などに存在する酵素で切れてしまうので、防止できる開発環境を整えればよい」と話した。パスコロ氏は2000年、キュアバック設立に参加した。

 世界保健機関(WHO)によると、12月29日時点で臨床段階にある新型コロナのワクチン候補は、緊急承認されたファイザー/ビオンテック、モデルナのワクチンを含めて60種。うちmRNAワクチンが7種を占める。mRNAワクチンは超低温での保管が必要。EUのワクチンは先週、ファイザーのベルギー工場から、温度モニター付きの冷蔵庫で各国に輸送された。

 日本では製薬大手、第一三共がmRNAワクチンを開発中。今春の臨床試験開始を目指している。

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