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香港からの亡命実態を公表しない台湾当局 意外に冷たい市民

10月25日、台北市中心部で行われた香港の民主派を支援するデモに参加する台湾在住の香港の若者ら
10月25日、台北市中心部で行われた香港の民主派を支援するデモに参加する台湾在住の香港の若者ら

 【台北=矢板明夫】香港国家安全維持法(国安法)の施行(6月30日)から半年が経った。この間、香港を脱出しようとする多くの若者たちが目指したのが、同じ中華圏で地理的にも近い台湾だった。支援者によると、香港で反政府デモが本格化した昨年以降、密航などさまざまな形で台湾に入ってきた若者は数百人規模といわれる。デモの最前線で警官と戦った勇武(武闘)派のメンバーも多い。

 台湾で対中政策を担当する大陸委員会によると、香港市民の今年の居留申請は10月までで過去最多の7474人に達し、昨年1年間の5858人を上回った。

 正規のプロセスを踏まない密航者も少なくない。しかし、台湾には難民保護の法律が整備されていない。公になれば、香港へ送還しなければならなくなるため、香港市民の密航を発表しない方針をとっている。

 密航者を収容した場合、国籍を尋ねず、「国籍不明者」として扱う。香港の家族などと連絡できないよう携帯電話も取り上げる。密航者の希望を聞いて、ひそかに米国などへ送り出すケースもあるという。

 8月に香港の民主活動家ら12人が台湾に密航しようとして中国当局に拘束された事件があったが、台湾メディアは、別の5人が台湾への密航に成功したと報じている。これについて台湾当局は肯定も否定もせず、一切説明していない。

 台湾当局が実態を公表しない背景には、中国や香港当局とのトラブルを避ける思惑以外に、台湾の人々が香港市民にそれほど強い関心をもっているわけではないという事情もある。

 台湾住民の大半は自分を「中国人」ではなく「台湾人」だと思っている。これに対し、自分を「中国人」だと考える香港市民が少なくないことへの不信感がある。中国のスパイが亡命者の中にいることへの警戒心もあり、台湾の世論は必ずしも香港市民の大量受け入れに賛成ではない。

 今春、特例措置で台湾南部の大学への編入が認められた20代の男性は「香港では勇武派のリーダーだったが、昨夏、仲間が次々と逮捕されたため、観光ビザで台湾に入った」と明かす。

 男性は「香港の仲間と毎日のように連絡を取っているが、ほとんどが亡命を希望している。私たちの世代は英語より中国語が得意なので、言葉が通じる台湾を希望する仲間が多い」と指摘、「国際社会の支持を求めながら、時間をかけて香港を取り戻すしかない。私たちは諦めない」と話す。

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