モロッコとイスラエルが国交正常化合意 トランプ氏は成果強調
【カイロ=佐藤貴生】米ホワイトハウスは10日、アフリカ北西部モロッコの国王、モハメド6世がトランプ米大統領との電話会談で、イスラエルとの国交正常化で合意したと発表した。トランプ政権が仲介したイスラエルとアラブ国家の国交正常化合意はアラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、スーダンに続いて4カ国目。トランプ氏はツイッターへの投稿で「中東の平和に向けた大きな進展だ」と成果を強調した。
トランプ氏は電話会談で、モロッコが領有権を主張する西サハラに対する同国の主権も承認した。鉱物資源が豊富な西サハラでは独立派の「ポリサリオ戦線」が活動し、モロッコとの対立が続いている。
イスラエルのネタニヤフ首相は合意について、「もう一つの偉大な平和の光だ」と述べて歓迎した。アラブによるイスラエルとの国交正常化はパレスチナ問題の棚上げを意味するため、パレスチナ解放機構(PLO)幹部は「パレスチナ人の権利の否定」につながるとしてモロッコを非難した。
トランプ米政権は周辺国への軍事的脅威を強めるイランの包囲網構築のため、イスラエルとアラブ諸国の関係改善を推進してきた。
特に、イスラム世界に大きな影響力があるスンニ派の大国サウジアラビアに対し、イスラエルとの国交正常化で合意するよう働きかけてきた。米政権はサウジが2017年に断交したカタールとの関係正常化も推進しており、協議が前進しているとの報道もある。