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英政府がEU離脱協定骨抜き条項を削除 FTA交渉前進に好材料

2日、ロンドンで記者会見するジョンソン英首相(ゲッティ=共同)
2日、ロンドンで記者会見するジョンソン英首相(ゲッティ=共同)

 【ロンドン=板東和正】英政府は8日、ジョンソン政権が9月に提出した国内法案から、発効済みの欧州連合(EU)離脱協定の内容変更を可能とする条項を削除すると発表した。EU側は条項を非難しており、英EUの自由貿易協定(FTA)交渉への影響が懸念されていた。条項の削除は、交渉を前進させる好材料となる可能性がある。

 英EUが昨年合意した離脱協定では、英領北アイルランドとEU加盟国のアイルランドとの国境管理を復活させないため、北アイルランドの関税手続きは当面、英本土との境界でEU規則に従うことが明記された。しかし、問題となった条項は、FTA交渉が決裂した場合、北アイルランド・英本土間の関税手続きはEU規則ではなく、英国自身が決めるとした。同じ英国内で異なる関税が生じることを避けるためだったが、EU側は条項を「国際法違反」と反発。

 次期米大統領に就任する見通しとなったバイデン前副大統領も、アイルランドの平和を守る取り組みへの影響を懸念していた。

 北アイルランドでは、1960年代以降、カトリック系と、英国統治を支持するプロテスタント系勢力の対立が激化。紛争時に厳重に管理された英・アイルランド国境は英国統治の象徴で、離脱協定で決まった国境管理の復活を防ぐ取り組みを変更すれば、アイルランド和平が脅かされる恐れが指摘されていた。英国でも与野党で法案を反対する声が上がり、成立に至っていなかった。

 FTA交渉では、「英海域での漁業権」「公正な競争環境の確保」「紛争解決などのガバナンス(統治)」の主要課題の協議が難航し、合意のめどがたっていない。EU側の交渉姿勢を軟化させるために、ジョンソン政権が条項の削除を決断した可能性がある。

 ジョンソン英首相とEUのフォンデアライエン欧州委員長は今月9日夜、ブリュッセルで会談する予定。会談で、主要課題の解決の糸口が見つかるかどうかが注目される。

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