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【北京春秋】美容師と半導体の共通点

 北京勤務となって1年が経過したが、お気に入りの美容院をいまだ定められずにいる。何度か通ったオフィス近くの小さな店は、いつの間にか閉店していた。

 その後、ふらっと立ち寄った店で髪を切ったとき、思いがけず人生でベスト3に入る満足な仕上がりに小躍りした。2カ月後にその美容師を指名したが、受付の女性は困ったように「彼はもう辞めた」と答えて別の美容師を薦めた。

 思い返せばこの2店の美容師は2人とも、調髪中に同じ不満を漏らしていた。

 「経営者は髪を切る技術を重視していない。気にしているのは利益だけだ」

 閉店した店で働いていた遼寧省出身の30代の男性美容師は、自分で数十万円を出して東京・表参道の美容室で研修を数カ月受けたという。「日本の店は技術や人材を重視していると感じた。中国も変わらないといけない」と憤っていた。

 話は飛ぶが、対米ハイテク摩擦が深刻化する中国では半導体の国産化に向けた動きが活発だ。だが、利益を狙ってマネーが集まる一方、人材と技術不足が計画の足を引っ張る。この国の半導体技術に潜む問題の本質は、職人魂(だましい)を感じた2人の美容師が抱えていた不満に通じると感じた。真剣な様子で髪を切る美容師の姿を鏡越しに見ながら、彼もまた同じ思いを持つのか気になった。(三塚聖平)

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