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【アジア見聞録】「タイ式民主主義」曲がり角 王室批判のデモ 政権は不敬罪辞さず

■「香港」も意識

 抗議活動は今年2月、軍に近いとされる憲法裁判所が、若者の支持を集めていた野党「新未来党」に解党命令を出したことが契機となった。

 タイ政治は06年にタクシン首相(当時)が軍事クーデターで追放されたことを契機として混乱が深まり、「タクシン派」「反タクシン派」の摩擦が続いてきた。ただ、今回のデモではこうした対立構造は姿を見せない。

 今回の抗議活動は大学生や中高生ら若年層が中心となり、複数のグループが緩やかに連携する形で行われている。デモは主にソーシャルメディアで呼び掛けられ、国内各地でゲリラ的に実施されている。

 香港で「逃亡犯条例」改正案を発端として昨年6月以降に本格化した抗議活動を意識し、臨機応変にデモを実施するという意味で「水になれ」が合言葉となっている。

■混乱の政治史

 今回の抗議活動がこれまでのデモと異なるのは、要求が王室改革に踏み込んでいる点だ。「若者たちは国王を頂点とするタイ式民主主義の変革を求めている」と話すのは、タイ政治に詳しいタマサート大学(バンコク)の水上祐二客員研究員だ。

 タイは1932年に立憲君主制移行後、政治的混乱のたびに事態を打開する目的で軍がクーデターを起こし、国王がその後に成立した軍事政権を承認してきた経緯がある。クーデターの回数はじつに19回。民主主義体制でありながら、国王の権威を背景に軍部が政治に介入する構造が、タイ式民主主義と呼ばれる。

 直近の2014年のクーデターでは、タクシン派と反タクシン派の対立収拾に乗り出した軍が全権を掌握した。指揮したのは陸軍司令官だったプラユット現首相だ。昨年には民政移管を目指した総選挙が行われ、タクシン派「タイ貢献党」が第1党となったものの、多数派工作で新首相にプラユット氏が就任し、軍が政治に影響力を行使する構図は変わらなかった。

 抗議活動参加者は「王室改革がなければ真の民主化はない」との考えで、クーデター承認の廃止など国王権限の縮小を求める。軍の影響力の強い政権が長期間続く中、軍と王室を近い関係と見なして改革を求めている。

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