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移民2世の過激化阻止へ闘い続く パリ同時多発テロから5年

10月29日、襲撃事件があったフランス・ニースのノートルダム教会を訪れ記者団に話をするマクロン大統領(ロイター=共同)
10月29日、襲撃事件があったフランス・ニースのノートルダム教会を訪れ記者団に話をするマクロン大統領(ロイター=共同)

 【パリ=三井美奈】イスラム過激派が130人を殺害した2015年のパリ同時多発テロから13日、5年を迎える。犯行声明を出した過激組織「イスラム国」(IS)は中東で敗走したが、フランスで移民社会の若者が凶行に走る構図は続く。マクロン政権は、国を敵視するようなイスラム主義への規制を強めている。

 フランスでは15年以降、テロ攻撃による死者は250人を超える。先月には、イスラム教の預言者ムハンマドの風刺画を授業で使った中学教員がパリ郊外で殺害されたのに続き、南部ニースの教会で3人がナイフで刺殺された。

 目立つのは、インターネットやモスク(イスラム教礼拝所)で過激思想に染まった「一匹おおかみ」の犯行。同時多発テロは、西欧育ちの移民2世たちが実行犯となり、教員殺害テロはロシア・チェチェン系の18歳の男だった。

 フランスはテロ対策法を強化し、テロ組織のサイトへの恒常的なアクセスや、テロ称賛のネット発言を処罰対象にしてきた。マクロン政権では規制対象を広げ、「イスラム主義者による国家分断」の動きを取り締まる構え。教員殺害テロの直後、ネット上で過激発言を広げたとして、モスクやイスラム教徒団体に閉鎖命令を出した。「神」や「炎」の言葉で特定の対象を呪(じゅ)詛(そ)し、国際テロリストの発言を引用したことを問題視した。17年のマクロン政権発足以後、過激派として閉鎖した施設・団体は300以上に上る。

 政府はさらに、外国から来た説教師にフランスの制度や法律を履修させる方針。移民家庭の子供が親と違うモスクに通い、モロッコやトルコから来た過激派説教師に感化されるケースが報告されているためだ。

 仏世論調査によると、15~24歳のイスラム教徒のうち「宗教法は国の法より重要」と答えた人は57%で、4年間で10ポイント増えた。政府の規制の背景には、国是である政教分離の理念が共有されない分断社会が生まれることへの懸念がある。

 だが、社会の意識格差は大きい。教員殺害テロ後、マクロン氏は「表現の自由を教えた」として被害者を国家追悼式でたたえたが、イスラム教徒の6割は「教員が風刺画を生徒に見せる」ことに反対する。移民2世たちが進学や就職で直面する格差の壁も、国の同化政策を難しくしている。

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