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米政権移行の停滞 安保への影響に懸念広がる

9日、新型コロナウイルス対策の専門家チームを発足させ、ビデオ会議を行ったバイデン氏=米東部ウィルミントン(ロイター)
9日、新型コロナウイルス対策の専門家チームを発足させ、ビデオ会議を行ったバイデン氏=米東部ウィルミントン(ロイター)

 【ワシントン=黒瀬悦成】米大統領選で当選を確実にした民主党のバイデン前副大統領の陣営は9日、外交を始動させ、政権移行に向けた取り組みも本格化させた。しかし、共和党のトランプ大統領は「選挙に不正があった」として訴訟攻勢を強めており、政権移行の停滞で中国やロシアなどの敵性勢力の脅威をにらんだ米国の安全保障態勢に悪影響が出かねないとの懸念が広がりつつある。

 今回の大統領選では3日の投開票日から来年1月20日の大統領就任式まで78日間の移行期間があるが、トランプ氏は徹底的に法廷闘争を展開する構えで、今後の移行期間が大幅に短縮される恐れは非常に強い。

 同様に票の集計をめぐり訴訟に突入した2000年の大統領選では、同年12月12日の最高裁判断を受け共和党の息子ブッシュ氏の当選が確定。ブッシュ陣営に残された移行期間は37日間しか残されていなかった。

 01年9月11日に起きた米中枢同時テロの全容解明を目指した独立調査委員会の委員長を務めたキーン元ニュージャージー州知事(共和党)は、共和党のブッシュ政権が前任のクリントン民主党政権から引き継ぎを受ける時間を十分に確保できず、安全保障チームの充足に政権発足後半年以上もかかったことが、同時テロを事前に察知できなかった遠因になったと指摘する。

 また、1960年大統領選で敗退した共和党のニクソン候補が、一部の州で不正投票の可能性があったにもかかわらず再集計の要求を見送ったのは、旧ソ連と対立する東西冷戦下で選挙結果をめぐる混乱を引き起こせば、ソ連に付け入る隙を与える、との大局的判断からだった。

 一方、トランプ氏は9日、エスパー国防長官を突然解任した。米メディアによると、エスパー氏はトランプ氏再選なら解任か辞任は不可避とみられていたが、同氏の敗北が確実視されるにもかかわらず「粛清」され、驚いているという。

 息子ブッシュ政権2期目で国防長官を務めたロバート・ゲーツ氏は次のオバマ民主党政権で約2年半も留任した。米国がテロの脅威にさらされる中で国防態勢の維持を重視したためといわれる。それだけに、トランプ氏が政権移行期のタイミングで国防長官を解任したことには「国防総省を揺るがし、敵対勢力を勢いづかせ、米国をさらなる危険に追いやる行動だ」(スミス下院軍事委員長)などの批判が相次いでいる。

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