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中国、海警法整備で「法律戦」 領有権主張の先兵に 軍事組織化も加速

 【北京=西見由章】中国の立法機関、全国人民代表大会(全人代)が今月4日に公表した「海警法」案は、海上法執行機関である中国海警局(海警)を独自の領有権主張の“先兵”としてその権限を強化し、軍事組織化も加速する内容だ。自国の正当性の主張を目的とした政治工作「法律戦」の側面もある。

 同法案は、国家の主権や管轄権が外国の組織、個人に侵害されたときは「武器の使用を含めたあらゆる必要な措置」を取れると明記した。尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺で操業する日本漁船だけでなく、海上保安庁の巡視船も対象となる可能性がある。独自の領有権主張を展開する東・南シナ海で海警による「法執行」を活発化させ、「主権行使」の既成事実を積み上げる構えだ。

 また同法案は、中国の許可を受けずに外国の組織や個人が中国の島・岩礁などに建設した構造物について「強制的に取り壊すことができる」と規定。日本側が尖閣諸島にヘリポートなどを建設することを牽制(けんせい)する狙いも透ける。

 海警が、最高軍事機関である中央軍事委員会(主席=習近平国家主席)の命令に基づき「防衛作戦」を担うことも明記した。

 現在、海警は国内の治安維持などにあたる人民武装警察部隊(武警)の傘下にある。武警は2018年1月、国務院(政府)からの「二重指揮」を解消し、中央軍事委の指揮に一本化された。さらに同7月、国務院の管理下にあった海警が武警に編入され、「武装力量(軍事組織)」として位置付けられた。

 海警トップには、海軍で東シナ海を管轄する東海艦隊の副参謀長を務めた王仲才少将が就任。さらに海警は今年6月の法改正で、有事や演習の際に人民解放軍海軍と同じ指揮系統の下で一体的に行動することが可能となるなど「第二海軍化」が進んでいる。

 米沿岸警備隊をはじめ、海上法執行機関が有事に軍隊としての権限も持つケースは国際的に少なくない。ただ尖閣周辺で海警と対峙(たいじ)する海上保安庁は、海保法で「軍隊の機能」を営むことを認められておらず、海警との権限の格差が今後強まる恐れがある。

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