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ナゴルノ紛争は現代戦闘の見本市 ドローン駆使、動画でプロパガンダ流布

 S300やその後継であるS400の輸出に力を入れているロシアにとって、S300の限界が示されたことは痛手であることは間違いなさそうだ。

SNSでプロパガンダ

 今回の紛争をめぐる別の特徴は、アゼルバイジャンとアルメニアの双方が、インターネット上に敵兵器や部隊を攻撃する映像や画像を競って公開し、世界にアピールしたことだ。

 近年、シリアやリビアの内戦では、戦果をアピールしたり、国際世論を味方につける目的で、政府軍に対抗する武装勢力が積極的に戦闘シーンを撮影した動画を発信してきた。イラクやシリアで疑似国家を建設しようとしたイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)なども、残虐な動画を拡散させることで自らの過激思想の訴求力を高めた。

 ところが今回は、「国家同士」がIT空間で情報合戦を繰り広げた。

 両国の国防省は戦闘開始以来、ツイッターやウェブサイトに、相手陣地や戦闘車両を撃破する動画や、相手側の攻撃で民間人が死傷したとする動画を多数投稿してきた。双方には、戦果を誇示して自陣営の戦意を高揚させつつ、相手側の非人道性を訴える思惑がある。

 これらの動画は、世界中の人がアクセス可能な状態で流され、情報が十分に精査されないまま無限に拡散されていく。

 小泉氏も今回の紛争の一側面として「両国の国防省が、かなり誇張したと思われる戦果をツイッターで宣伝したり、アルメニアのパシニャン首相が戒厳令と総動員をツイッターで告知したりと、ツイッターが情報戦の主戦場となった感がある」と指摘した。

 今回の紛争では、双方が互いに相手の戦果の発表を「虚偽だ」と否定する場面も多く見られた。技術の発達で、本物と見分けがつかないフェイク映像の作成も容易になっている。

 今後起きうる紛争でも、プロパガンダ手段としてのインターネットの活用がますます進むとみられる。

 ドローンやITが駆使された今回のアゼルバイジャンとアルメニアの紛争は、そうした現代の紛争の“かたち”を予感させている。

【ナゴルノカラバフ自治州】 アゼルバイジャン西部に位置。旧ソ連末期、多数派のアルメニア系住民がアルメニアへの帰属変更を求めてアゼルバイジャンと対立し、両国で計数万人が死亡する紛争に発展。ロシアの支援を受けたアルメニア側が実効支配を確立した状態で1994年に停戦となった。これまでも戦闘が散発的に発生してきたが、今回の衝突は停戦後としては最大の規模となった。

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