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【主張】核兵器禁止条約 廃絶と安全につながらぬ

 核兵器の開発や実験、保有、使用を全面的に禁ずる核兵器禁止条約が来年1月発効する。50の中小の国・地域が批准して発効基準を満たした。

 これが核廃絶の歩みを前進させるとの見方が新聞やテレビニュースなどで広がっている。

 唯一の戦争被爆国として日本が核兵器廃絶を追求するのは当然だ。だが、核廃絶や平和に寄与するという前提で核禁条約を論じたり、日本が加わったりすることはとても危うい。

 核兵器を持つ国はどこも核禁条約に加わっていない。核拡散防止条約(NPT)で核保有を認められた米露中英仏の5カ国やNPT外で核を持つインド、パキスタン、イスラエル、北朝鮮である。これで核を廃絶できるのか。

 そのうえ日本や韓国、北大西洋条約機構(NATO)加盟の非核保有国の全てが核禁条約を結ばなかった。その重みも理解しなくてはならない。核禁条約は締約国と、核保有国を含む非締約国との溝を深め、核軍縮の議論を停滞させる恐れもある。

 日本は中露や北朝鮮の核の脅威に直面している。北朝鮮が声明で「取るに足らない日本列島の4つの島を核爆弾で海中に沈めるべきだ」と脅してきたのはわずか3年前のことだ。

 現在の科学技術の水準を踏まえれば、核攻撃を抑えるには核による反撃力を持つことが欠かせない。核抑止を一方的に解けば放棄しない国の前で丸裸になる。もし全核保有国が放棄しても、ひそかに核武装する国やテロ組織が現れれば万事休す、である。

 自国や同盟国の側に核抑止力がなければ、北朝鮮のような悪意ある国からの核攻撃やその脅し、化学兵器など他の大量破壊兵器による攻撃を防げない。この安全保障上の厳しい現実を肝に銘じたい。日本が非核三原則を採れているのも同盟国米国の「核の傘」(核抑止力)に依存しているからだ。

 加藤勝信官房長官は会見で「わが国のアプローチと異なる」として核禁条約に署名せず、締約国会議へのオブザーバー参加にも慎重姿勢を示した。

 国民の命を守る責務を担う政府として妥当な姿勢である。政府は広島、長崎の悲劇を語り伝え、核禁条約とは別の形で核軍縮外交を着実に進めるとともに、「核の傘」やミサイル防衛の有効性を常に点検しなければならない。

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