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国交正常化合意1カ月 サウジは慎重、微妙な変化も

米ホワイトハウスで署名式に臨むトランプ大統領(右から2人目)とイスラエルのネタニヤフ首相(同3人目)、アラブ首長国連邦(UAE)とバーレーンの外相=9月15日(ホワイトハウス提供、ゲッティ=共同)
米ホワイトハウスで署名式に臨むトランプ大統領(右から2人目)とイスラエルのネタニヤフ首相(同3人目)、アラブ首長国連邦(UAE)とバーレーンの外相=9月15日(ホワイトハウス提供、ゲッティ=共同)

 【カイロ=佐藤貴生】トランプ米政権の仲介で、ペルシャ湾岸のアラブ首長国連邦(UAE)とバーレーンがイスラエルとの国交正常化合意に署名してから、15日で1カ月が過ぎた。

 米政権はイスラム世界に大きな影響力を誇るスンニ派大国サウジアラビアに後に続くよう求めているが、イスラエルとの国交正常化はパレスチナ問題の切り捨てを意味するため、サウジは慎重姿勢を示している。

 ただ、最近は微妙な立場の変化もみられ、その動向は引き続き注目を集めそうだ。

 ポンペオ米国務長官は14日、ワシントンでサウジのファイサル外相と会談し、イスラエルとの国交正常化について「熟考するよう希望する」と述べ、同国とUAEなどの合意を「援助」したとして謝意を示した。

 サウジは2002年、東エルサレムを首都とするパレスチナ独立国家建設などを盛り込んだ和平案を発表。パレスチナに寄り添う姿勢を示してきた。

 しかし、近年はシーア派大国イランの軍事的脅威に危機感を強め、包囲網構築のためUAEなどとイスラエルの合意を黙認したとされる。

 特に、次期国王と目されるムハンマド皇太子(35)は2年前、「ユダヤ人は彼らの土地に住む権利がある」と述べるなど、イスラエルとの関係改善に前向きな姿勢を示唆してきた。

 米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は9月中旬、パレスチナ問題の解決に固執するサルマン国王(84)と皇太子との間に温度差が生じているとし、皇太子は「イスラエルと(国交正常化で)合意したいが、国王の存命中はほぼ不可能だ」と話しているとの側近の話を伝えた。

 イスラエルとアラブ諸国の4回に及んだ戦争を知る国王に対し、戦後生まれの皇太子にはイスラエルに対する嫌悪感が薄いという世代間の違いがうかがえる。国民も約7割が30歳以下で若者の間では皇太子の支持者が少なくないとされる。

 サウジ政府の変化はメディア報道に表れている。ロイター通信によると、UAEとイスラエルの合意発表後の9月上旬、サウジ国営テレビは、イスラエルを「侵略者」などと非難してきた聖地メッカの説教師が、同国に対する激情を抑えるよう述べる様子を放映した。

 10月上旬には、情報機関のトップや駐米大使を務めた王室の有力者、バンダル王子(71)がサウジ資本の衛星テレビとのインタビューで、パレスチナ指導部について「彼らは常に敗者の側に賭けてきた」などと述べて突き放した。

 サウジはスンニ派の一派で戒律が厳しいワッハーブ派に統治の基盤を置き、信仰に熱心な信徒が多い。政府がメディアを通じて世論の風向きを探っている可能性もありそうだ。

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