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旧ソ連諸国で相次ぐ混乱 新型コロナ、露の影響力低下が誘因

10日未明、アゼルバイジャン領ナゴルノカラバフでの停戦合意を発表するロシアのラブロフ外相=モスクワ(ロシア外務省提供、タス=共同)
10日未明、アゼルバイジャン領ナゴルノカラバフでの停戦合意を発表するロシアのラブロフ外相=モスクワ(ロシア外務省提供、タス=共同)

 【モスクワ=小野田雄一】ロシアが「勢力圏」とみなす旧ソ連構成国で混乱が相次いでいる。アルメニアとアゼルバイジャン間では9月に紛争が勃発。キルギスでは10月、選挙不正疑惑を契機に政変が起きた。ベラルーシでも8月の大統領選への抗議が続く。

 いずれも各国の抱えてきた固有の問題が、新型コロナウイルス禍に伴う生活苦への不満や、ロシアの国際的影響力の低下を起爆剤として爆発した形だ。

 ロシアは各国に対する影響力の維持に躍起だが、自身も財政難や新型コロナ対応に追われ、有効な手立ては打てていない。

 南カフカス地方のアゼルバイジャンとアルメニア間では9月27日、長年にわたる係争地、ナゴルノカラバフ自治州をめぐる大規模な衝突が勃発。これまでに双方の兵士・民間人合わせて少なくとも600人超が死亡し、1994年の停戦以降で最大の危機となった。

 両国は10日、双方に影響力を持つロシアの仲介で停戦に合意。しかし、その後も双方が相手側からの攻撃を報告し、ロシアの威信の弱まりを示唆した。

 アゼルバイジャンはトルコを後ろ盾に「停戦が順守されない場合、再び軍事力を行使する」と警告。アルメニア側が実効支配する同自治州を自国領として承認することや、和平条件をめぐる今後の協議にトルコを参加させることも求めている。

 面目がつぶされた形となったロシアのラブロフ外相は14日、アゼルバイジャンによる軍事力行使への言及を「同意できない」と批判。ペスコフ露大統領報道官も同日、トルコの協議参加に否定的な見方を示した。

 ただ、アゼルバイジャンの要求を拒めば、同国のロシア離れや南カフカスでのトルコの影響力拡大を招きかねず、ロシアは対応に苦慮しているのが実情だ。

 中央アジアのキルギスでも今月、与党の圧勝が発表された4日の議会選は不正だったとする野党支持者による抗議デモが発生。デモ隊が政府庁舎を占拠し、多数の政治犯を釈放する事実上の政変が起きた。デモの背景には、同国で続いてきた南北の地域対立がある。

 政務不能に陥ったジェエンベコフ大統領側は14日、「議会選の再選挙後に大統領を辞任する」と発表。ジェエンベコフ氏はまた、議会が暫定首相に指名した元野党議員、ジャパロフ氏の首相就任も同日承認した。

 ジャパロフ氏は14日、「ロシアとの軍事協定は見直さない。ロシアは重要な戦略パートナーであり続ける」と対露関係を重視する方針を示した。ただ、キルギスでは経済面などで中国やトルコへの依存度が増しており、今後、キルギスにおけるロシアの影響力低下が加速する可能性がある。

 さらに、ベラルーシでもロシアの地位に変化が生じている。同国ではルカシェンコ大統領の6選が発表された8月9日の大統領選以降、選挙不正を主張する大規模デモが続く。政権側は反体制派の有力者を次々と国外追放に追い込み、多数のデモ隊を拘束。事態の沈静化に躍起となっている。

 2014年のウクライナ政変など「デモによる体制転覆」を強く警戒しているプーチン露大統領は、ルカシェンコ政権を支援してきた。しかし露経済紙コメルサントは9月末、その結果として、ベラルーシ国内には過去にない反露感情が芽生えつつあると指摘。将来的な両国関係にも影響は及ぶとの観測が強まっている。

 さらに11月1日には東欧モルドバでも大統領選が予定され、親露派の現職ドドン大統領と親欧米派の野党候補との接戦が伝えられている。露有力紙「独立新聞」は「選挙結果次第では同国でも混乱が起きる恐れがある」と分析している。

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