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「中絶禁止法」昨年から続々 最高裁判事任命で再焦点化 

連邦最高裁判事に指名されたバレット連邦控訴裁判事の人事を承認するかどうかを審議する上院司法委員会の公聴会=14日、ワシントン(AP)
連邦最高裁判事に指名されたバレット連邦控訴裁判事の人事を承認するかどうかを審議する上院司法委員会の公聴会=14日、ワシントン(AP)

 【ワシントン=住井亨介】米国各州で人工妊娠中絶を厳しく制限する禁止法が昨年から続々と成立している。最高裁判事の承認をめぐる上院での公聴会でも取り上げられるなど、人工中絶をめぐる議論が再び注目を集めている。

 検察当局者らで組織する団体「公正かつ公平な検察」(FJP)によると、2019年初めからこれまでに、少なくとも12州で妊娠中絶を制限する法律が制定された。

 米グットマッハー研究所の調べでは、妊娠後いずれかの時点での妊娠中絶を禁止しているのは43州ある。これをさらに強化しようという動きがあり、南部のアラバマ、ルイジアナ州などでは、人工妊娠中絶をほぼ全面的に禁止。胎児の心音が確認できるとされる妊娠6週以降の中絶を禁じる、いわゆる「ハート・ビート(心音)法」を制定したのは7州にも上っている。

 保守層の主導で各州で中絶禁止法が相次いでいる背景には、1973年に最高裁が人工妊娠中絶の禁止を「違憲」とした「ロー対ウェード」判決を覆そうという意図がある。

 これに対し、州司法長官や地方検察官ら64人が14日、仮に最高裁判例が覆っても地方レベルでは独自の判断をする旨の共同声明を発表して保守派を牽制(けんせい)。「個人が健康のために行った選択を訴追しないですむよう、われわれは自由な裁量権を行使せざるを得ない」と訴えた。

 調査機関ピュー・リサーチ・センターによる2019年の世論調査では、「中絶を合法とすべき」と答えたのは61%で、「非合法とすべき」としたのは38%だった。30年後の状況を問う設問でも「中絶は合法」としたのは77%、「非合法」の22%を大きく上回っており、一部保守層の主張が国民世論とはかけ離れている。

 ただ、保守層が意図しなかった形で、相次ぐ中絶禁止法の効果も浮かび上がっている。グットマッハー研究所によると、2017年の全米の人工妊娠中絶件数は86万2千件で、11年の105万8千件から19%も減少した。女性1千人当たりの中絶率は長く低下傾向が続いており、2017年は13・5。1973年の16・3を下回っているという。

 同研究所は、こうした傾向は出生率の低下に加え、薬を使った在宅中絶が原因だと指摘。相次ぐ中絶禁止法とは直接関係がないと分析しながらも、「望まない妊娠を続けざるをえなかった人もいる」と指摘している。

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