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【千夜一夜】再燃する歴史的対立

トルコ・イスタンブールにある世界遺産アヤソフィア=2017年4月(佐藤貴生撮影)
トルコ・イスタンブールにある世界遺産アヤソフィア=2017年4月(佐藤貴生撮影)

 トルコの最大都市イスタンブールにある世界遺産、アヤソフィアには9月、多くのイスラム教徒が礼拝に訪れていた。もともとはギリシャ正教の聖堂だったが、トルコ政府がこの夏、モスク(イスラム教礼拝所)に地位変更したからだ。

 一方、同じ街にあるキリスト教の東方正教会の最高権威とされるコンスタンチノープル総主教庁は訪問者がごくわずかで、静まり返っていた。スペインからきたというキリスト教徒の女性は「アヤソフィアのモスク化は不幸なことだ」とだけつぶやいた。庁内の職員によると、イスタンブールには正教徒が多いギリシャ系住民が1500人ほど住んでいるが、日曜に教会を訪れる人も「大して多くはない」という。

 ギリシャとトルコは宗教の違いもあり、歴史的に激しく対立してきた。ギリシャはかつてオスマン帝国の支配下に入り、独立後、両国間では大量の住民を相互に移住させる「住民交換」が行われた。イスタンブールでは1955年、反ギリシャ暴動も起きた。

 総主教庁に案内してくれたトルコ人記者は「ギリシャ系は多数で集まったり、ギリシャ語を人前で話したりするのを避けている」と話した。アヤソフィアのモスク化で、双方の歴史的対立が目に見えない形で再燃しているように感じた。(佐藤貴生)

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