蓮池薫さん「北は日本の意志を見ている」 15日で帰国18年
蓮池さんは「自力更生は無理だとの結論だ。支援を期待し、拉致問題を含む外交戦略を見直す可能性がある。『日本』『拉致問題』という外交カードを、しっかり意識させられるかが大事になってくる」と語る。
拉致被害者家族会は、被害者全員の即時一括帰国を「譲れない一線」としており、蓮池さんも「日本政府も、その基本方針を維持するのは当然」と強調する。
また、米朝間で焦点となっている北朝鮮の核・ミサイル問題が進展すれば、拉致問題の進展も期待できるとみるが、「日本は具体的戦略を立て、柔軟に対応しなければならない。拉致を先に解決できる局面がないか、北朝鮮の動向、サインを見逃さないようにするべきだ」と指摘する。
決して「忘れない」
平成9年、日本では被害者家族会が結成された。日本の新聞の翻訳などを命じられていた蓮池さんも救出運動を報じる記事を目にしていた。「自分は忘れられていないと感じ、うれしかった」と振り返る。
家族会は滋さんの息子の拓也さん(52)ら若い世代が活動の中心になりつつある。蓮池さんは「北朝鮮は『まだ救出運動を続けるのか』と重圧を感じる。世論も盛り上がれば『もうごまかしきれない』と思い知るだろう。その動きはきっと北朝鮮にいる被害者にも伝わるはず」と話す。
9月に発足した菅義偉政権は、安倍晋三前首相が掲げた拉致解決を最重要、最優先課題とする方針を継承した。蓮池さんは「政府は家族の目に見え、希望を持たせる形で取り組みを進めてほしい。同時に国民が、同じ思いを持って行動を続けることが必要だ」と述べ、拉致解決へ日本が一体となって取り組むことを期待した。