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【ドイツの岐路】(上)東独育ちの「女王」が見せた覚悟

記者会見するドイツのメルケル首相=ベルリン(ロイター)
記者会見するドイツのメルケル首相=ベルリン(ロイター)

 10月3日、東西ドイツの再統一から30年を迎える。メルケル首相(66)は今年、在任15年。東独育ちの女性が、統一ドイツの半分を統治してきたことになる。欧州で新型コロナウイルスの「第2波」が広がる中、メルケル氏の支持率はいまも7割を超える。なぜ、これほど国民の信頼を集めるのか。

 ベルリンから北に約80キロ。テンプリンという町でメルケル氏は育った。少女期を過ごした家は、無人駅から徒歩30分の森の奥にある。生まれは西独ハンブルク。牧師だった父親の赴任に伴い、生後2カ月でこの町に移住した。黄色い壁の家は教会の障害者施設で、一家は3階に住んだ。西には見渡す限り、荒野が広がっていた。

 東独では、こんな寂しい町にも秘密警察の目が光っていた。メルケル氏は後に「父は都合が悪い話をするとき、森に行きました。知人をどう西独に逃すかといった話です」と回想した。彼女は先進7カ国(G7)首脳で唯一、自分でツイッター発信をしない。発言するのは、本当に必要な時だけだ。

 今年3月、コロナ感染がドイツに及び始めたとき、メルケル氏はテレビカメラに向かった。都市封鎖の決断を国民に伝えるためだ。

 「私は自由を苦労して勝ち取った世代です。自由の制限は、民主主義社会で安易に決めるべきでないと身に染みて知っている。しかし今、命を救うために必要なのです」。首相の言葉は、説得力があった。

■科学を重視

 メルケル氏のコロナ対策では、「科学を信じる」姿勢も際立つ。

 都市封鎖やその解除、学校再開はドイツの「国立科学アカデミー」の提言に沿って決めた。アカデミーは17世紀発足の学際組織。自然科学、経済、教育、法律など各分野のトップ学者が集まる。メルケル氏自身、物理学者でかつて東独の科学アカデミーに勤務した。「アカデミーに従いましょう」と首相が言えば、異論は出なかった。

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