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【北京春秋】権力を恐れない武漢人の反骨精神

8月30日、多くの市民らで賑わう中国湖北省武漢の飲食街「戸部巷」。ただ新型コロナウイルス禍の前に比べると客足は半分以下という(西見由章撮影)
8月30日、多くの市民らで賑わう中国湖北省武漢の飲食街「戸部巷」。ただ新型コロナウイルス禍の前に比べると客足は半分以下という(西見由章撮影)

 中国湖北省には、後漢末期の古戦場、赤壁がある。この戦いでは劉備、孫権の連合軍が曹操を破り、中国史では異例の皇帝3人が並び立つ三国時代につながった。近代でも、清朝を打倒した辛亥革命の発端となった「武昌蜂起」が現在の省都・武漢で起きている。英雄豪傑たちが歴史を切り開いてきた地が、世界を混乱に陥れる新型コロナウイルス感染症の「震源地」となったのは皮肉だ。

 武漢で先日、新型コロナ禍に関する取材に応じた人たちの多くは、当局側の初動の不備や情報隠蔽(いんぺい)についても、率直に自身の思いを語った。武漢の公的機関に勤務する男性によれば「湖北人は切れ者で恐れ知らず」だという。長江の洪水に長年苦しめられてきた経験が、ある種の反骨精神を生んだのかもしれない。

 武漢では眼科医の李文亮氏が昨年末に感染症拡大をネット上で警告し、当局から処分を受け、その後自身も感染して死去した。病院側の情報隠蔽をメディアに告発した医師もいる。武漢市民に「総書記や党の恩に感謝させる」ための教育の実施を指示した市トップの王忠林党委書記は、現地で「王感恩」とあだ名を付けられ嘲笑されたという。

 中国当局は、感染症との戦いに勝利した町として武漢の美談化に躍起だ。だがそこには権力を恐れない反骨精神も脈々と流れている。(西見由章)

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