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構築進む「反イラン同盟」 スンニ派アラブとイスラエル、共通の危機意識

エルサレムの旧市街の壁に映し出されるアメリカ、イスラエル、UAE、バーレーンの国旗(ロイター)
エルサレムの旧市街の壁に映し出されるアメリカ、イスラエル、UAE、バーレーンの国旗(ロイター)

 【カイロ=佐藤貴生】ペルシャ湾岸のアラブ首長国連邦(UAE)とバーレーンによるイスラエルとの国交正常化は、湾岸アラブを率いるイスラム教スンニ派大国のサウジアラビアも加わる形で「反イラン同盟」に発展する可能性がある。サウジは正常化を事実上支持し、トランプ米政権が主導するシーア派大国イランの包囲網構築を側面から支援した。イランの脅威増大という共通の危機感が、パレスチナ問題で長年対立してきたサウジとイスラエルの接近を促しており、同調する国が出るかが中東再編の行方を左右しそうだ。

 11日にイスラエルとの国交正常化で合意したバーレーンは、デモ鎮圧などのたびに隣国サウジが支援してきた弟分のような国で、「サウジの了承なしに合意はあり得ない」との見方が大勢だ。サウジは8月、イスラエルとUAEが合意に達した際にも同国への批判を控え、イスラエル機の領空通過を初めて承認して関係強化を印象づけた。

 メッカ、メディナの2聖地を抱えるサウジはイスラム世界の盟主を自任しており、国内ではパレスチナ問題による反イスラエル感情も根強い。自らがイスラエルと早急に国交を樹立するのは困難とみられ、代わりにUAEとバーレーンを差し出すことでイラン包囲網構築に協力、共闘の意思を示した形だ。

 ペルシャ湾を挟んでイランの眼前にあるUAEを取り込んだことは、トランプ米政権の成果といえる。半面、米が意欲を示すUAEの軍備増強を実行すれば、イランが安全保障上の脅威とみなして緊張が高まる事態も否定できない。

 イスラエルとの国交正常化で追随する候補としては、オマーンやスーダン、モロッコなどの名が挙がる。ただ、米政権は9日、イラク駐留米軍の削減を発表するなど中東への関与を縮小する方針を崩しておらず、反イラン勢力の結集に水を差す恐れもある。

 さらに、最大の不透明要素となるのが11月の米大統領選の行方だ。三菱総合研究所の中川浩一主席研究員は、「民主党候補のバイデン前副大統領が勝利すればトランプ政権が離脱したイラン核合意に復帰し、対イラン制裁も緩和される可能性が高い」と分析する。

 そうなれば、トランプ政権が「最大限の圧力」政策で締め上げてきたイラン指導部が息を吹き返し、反イラン同盟も揺らぐことは避けられない。

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