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中国のミサイル発射、米空母排除の“切り札” 急がれる対中同盟網

中国の対艦弾道ミサイル「東風21D」(AP)
中国の対艦弾道ミサイル「東風21D」(AP)

 【武漢=西見由章、ワシントン=黒瀬悦成】中国軍が26日に南シナ海へ中距離弾道ミサイルを発射したのは、米軍の空母打撃群を排除する“切り札”を誇示し、中国近海で軍事プレゼンスを急速に高めている米軍に警告する狙いがある。

 中国人軍事研究者は発射されたとみられる対艦弾道ミサイルについて、米海軍への「接近阻止・領域拒否」戦略の基盤だと解説。「実力誇示は長期的な方針だ」としつつ、発射時期は「米軍偵察機が中国北部の海域に入ったことと関係あるだろう」と指摘する。

 中国国防省は25日、米軍機が中国軍の演習区域に侵入したとする非難声明を発表。香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは、米偵察機が飛行したのは渤海湾だったとする消息筋の話を伝えた。中国は渤海を内水としており、事実なら米軍機の領空侵犯を許したことになる。

 トランプ米大統領が共和党全国大会で大統領選候補に指名された直後にミサイルを発射したことで、トランプ政権に的を絞って牽制(けんせい)する動きとの観測もある。

 一方、トランプ政権は、中国が弾道ミサイルで南シナ海や西太平洋に展開する米軍を攻撃する態勢を確立した場合、米軍の優位が一層低下しかねないとして危機感を強めるのは確実だ。

 事態を受け、2026年までを目標とするグアムの米軍基地での弾道ミサイル防衛システム「イージス・アショア」の配備を前倒しするなどの対応を加速化させるとみられる。

 中国は、周辺地域に対する覇権的行動を活発化させている。エスパー国防長官は26日、ハワイで演説し、「中国が東シナ海や南シナ海でこれまで以上に挑発行為を展開してくるのは必至だ」と指摘。インド太平洋地域の同盟諸国との連携を強化していくと表明した。

 米海軍は、南シナ海で中国が軍事拠点化した人工島の周辺を通航する「航行の自由」作戦を引き続き高い頻度で実施していく方針とされる。加えて、日本やオーストラリアなどとの合同軍事訓練や、日米による迎撃ミサイルの共同開発などを通じて中国の軍事的挑戦を抑止していく考えだ。

 ミサイル発射は、国際社会が中国による地域を不安定化させる行動にどれだけ言葉で懸念を訴えても、中国は意に介さないことを改めて明白にした。日米や豪州、台湾など、中国に対する脅威認識を共有する勢力は、軍事分野を軸とする同盟ネットワークの構築と強化を急ぐ必要がある。

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