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北朝鮮に一時拘束の米博士の証言、抑留日本人の実態に新たな光

 北朝鮮で拘束され、解放された米国人博士、ドンチョル・キム氏が北朝鮮で会ったという日本人についての証言は、過去の拉致事件の強烈な印象の一方で、気づかれてこなかった北朝鮮で自由を奪われている日本人の実態に新たな光を当てる可能性を秘めている。

 キム氏が日本人と会ったとする北東部の羅先(ラソン)市は、中国人も行き来する経済特区だ。中国朝鮮族の妻が北朝鮮の重鎮を親戚に持つという人脈もあり、キム氏は海外投資誘致委員長といった市の要職にも就いた。地域の有力者で海外を自由に往来できる外国人という特異な存在のため、日本人らから故郷との連絡役を託されたのだという。

 拉致問題では、中学生だった横田めぐみさん(55)=拉致当時(13)=が力ずくで連れ去られた事件が大きな衝撃を与え、北朝鮮に抑留された日本人といえば強引に拉致され、隔離管理されてきたイメージが根強い。

 ただ、暴力的手段による拉致は発覚するリスクも高く、判明している拉致事件も誘い出しによる被害が多い。キム氏が会った日本人も甘い言葉で誘われ、一度だけ北朝鮮に行くつもりだったと話すケースが多かった。北朝鮮に関心を示したことで標的にされた可能性があるとキム氏はみる。

 北朝鮮は拉致被害者らの再調査の対象に「行方不明者」も含めていた。拉致の可能性が排除できない日本人を調べてきた特定失踪者問題調査会の荒木和博代表はキム氏の証言について、「これまでの枠にとどまらない拉致被害者がいる可能性を示す」と評価。日本人が自由を奪われながらも社会に出ていた点も「従来の拉致被害者のイメージを覆す」と強調した。

 拉致問題が膠着(こうちゃく)する中、日本政府には、自国民を救う糸口を手放さないでほしい。(ソウル 桜井紀雄)

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