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脱北者越境で南北そろって大失態  鉄条網下の排水路から河口へ? 

 【ソウル=桜井紀雄】北朝鮮が、南西部の開城(ケソン)へ韓国から戻った脱北者に新型コロナウイルスの感染疑いが判明したと公表した事案をめぐり、この脱北者の男がどのような経緯で北朝鮮に戻っていたかが明らかになってきた。男は性暴行容疑で捜査を受けている中で軍事境界線という最大の警戒ラインを突破しており、この事実は韓国と北朝鮮の双方にとって大失態といえる。

 韓国軍は27日、男が越境した地点をソウル北西の江華島(カンファド)の北側と特定したと明らかにした。男のものらしきバッグも発見された。軍は、張りめぐらされた鉄条網下の排水路から漢江(ハンガン)河口に出たとみている。18日未明に近くでタクシーを降りたのも確認された。

 男は2017年夏、江華島に近い喬桐島(キョドンド)まで泳いで脱北したが、今回はほぼ同じコースを逆にたどって北朝鮮に戻ったことになる。

 韓国の防疫当局は27日、北朝鮮に戻ったとされる脱北者の男について新型コロナの感染者として登録されておらず、接触者名簿にも記載がないと説明した。韓国の専門家は、感染の有無にかかわらず、北朝鮮が感染拡大の責任を韓国側に転嫁するため、男の越境を利用したとみている。

 男は20代で、ソウル近郊の金浦(キムポ)市に居住。自宅で知人女性に性的暴行を働いたとして6月に警察の取り調べを受け、最近、拘束令状が出されていたという。預金を解約したり、知人から金を借りたりした上で、ウォンをドルに両替し、知人の車で江華島付近を下見していた状況も浮上した。知人は、男が北に逃げる可能性を通報したが、警察に黙殺されたと主張している。

 男は動画投稿サイトで6月、南北経済協力事業の開城工業団地の閉鎖で「生活が苦しくなった」と脱北の動機を語り、聞こえにくかった耳を韓国で治療できたことに感謝を表していた。

 北朝鮮が脱北者の感染疑いに伴い、開城に非常事態を宣言した25日の会議では、今回の越境を許した前線の責任者を厳しく処罰することも討議された。

 韓国では、昨年6月にも木造船を見逃し、北朝鮮住民の入港を許したという問題があっただけに、軍当局の責任を厳しく問うべきだとの声が高まっている。

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