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中国、ヒマラヤ地域で領土的野心 インド巻き込み新たな火種

中国の習近平国家主席(ロイター)
中国の習近平国家主席(ロイター)
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 【シンガポール=森浩】中国がヒマラヤ山脈の小国ブータン東部の領有権を主張し始めたことが波紋を広げている。これまで中国が自国の権益を主張してこなかった地域で、ブータンは即座に抗議。ブータンと関係が深いインドも巻き込んだ新たな火種となりそうだ。実効支配を強化して各国と摩擦を起こしている南シナ海と同様、中国がヒマラヤ地域でも領土的野心をあらわにしている実態が浮かぶ。

 問題のきっかけとなったのは、6月に開催された途上国の環境対策に資金支援を行う国際機関「地球環境ファシリティー」の会合だ。中国代表がブータン東部のサクテン野生生物保護区を「中国とブータンとの紛争地域だ」と主張。ブータンは会合後、同保護区が「自国の領土であり論争はない」とする趣旨の抗議文書を中国に送付した。

 国交がない中国とブータンだが、未画定の国境を抱えている。両国は国境について1984~2016年にかけて計24回の交渉を行ってきたが、米外交誌ディプロマット(電子版)によると、同保護区が位置する東部については議題になったことがなかった。中国側が突然、「紛争地域」と断定して領有権を主張し始めた格好だ。

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 同保護区は、中国が「蔵南(南チベット)地区」として領有権を主張するインド北部アルナチャルプラデシュ州と隣接する。中印関係は両軍が5月にインド北部カシミール地方で対峙(たいじ)を始めてから急速に冷え込んでおり、中国には隣接地域の領有権を主張することでインドを牽制(けんせい)したい思惑も見え隠れする。

 ブータンは西部のドクラム地区で2017年、中印両軍が2カ月半にわたってにらみ合うなど中印摩擦の最前線となってきた。政治的、経済的にもインドとの結びつきが強く、国内にインド軍が駐留するなど安全保障面でも依存している。

 インドは今回の中国の領有権主張について「ヒマラヤ地域での権益を主張するための新たな試み」(インド外務省関係者)として警戒している。ブータン東部とアルナチャルプラデシュ州をつなぐ道路整備を提案しており、地域への関与を強めたい考えだ。

 ポンペオ米国務長官は8日、「中国共産党が主権を尊重している、と満足に言える隣国は多くはない。ブータンについても確かにそうだ」と述べ、中国の圧力を批判。事態を注視する姿勢を見せている。

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