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【ロシアを読む】“硬骨”の露2紙が存続危機 進むメディアの統制と画一化

 同紙の記者らはシマロフ氏の解任を上層部に要求した。しかし、結局は5月末に買収が完了し、政権に近い実業家エレミン氏が新オーナー就任。シマロフ氏は正式に編集長に就任した。

 こうした動きに抗議するため、6月中旬には同紙で長年働いてきた副編集長5人が一斉に退職を表明。露メディアによると、シマロフ氏は「ベドモスチを純粋な経済紙にする」との方針を示しており、編集方針のさらなる変質は避けられない見通しだ。

■巨額の賠償請求

 同じ時期、ベドモスチと同様に政権とは一定の距離を取ってきた経済紙RBK(発行部数約8万部)をめぐっても問題が起きた。

 露国営エネルギー企業ロスネフチが5月下旬、RBKの記事で会社の名誉が毀損されたなどとして、RBKを相手取った損害賠償請求訴訟を起こしたと発表したのだ。

 ロスネフチ側の主張によれば、RBKは「ロスネフチがベネズエラでの事業から完全撤退する」との印象を与える誤った記事を掲載。ロスネフチはこれにより、ビジネスに損害を受けたとしている。

 露メディアによると、賠償請求額はRBKの年間収益の約7倍に相当する430億ルーブル(660億円)に上り、ロシアにおけるメディアに対する訴訟としては過去最大だという。仮に訴えが認められれば、RBKの経営が立ち行かなくなる恐れもある。

■繰り返されるメディア介入

 20年間にわたるプーチン政権下のロシアでは、政権に近い資本家がメディアの経営権を握って人事や編集に介入したり、政権に批判的な記者が拘束されたり暗殺されたりする事例が相次いできた。国民の多くが主要な情報源とするテレビは政権を賛美するプロパガンダ(政治宣伝)機関と化しているのが実情だ。

 露憲法は表向き、民主主義や言論の自由を保障しているが、政権側との軋轢を恐れてメディア側でも自主規制が進み、表立って政権批判をするメディアはごく一部だ。ロシアは、国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」が毎年発表している報道の自由度ランキングで例年、150位前後と低い評価しか得ていない。

 一方、先述の世論調査でも示されていた通り、プーチン政権の支持率は現在、過去10年間で最低水準まで低下している。背景には、経済低迷や強権的統治の長期化に加え、政権の統制が及びにくいネットメディアやSNS(会員制交流サイト)の発達といった要素があるとみられる。このため政権は、新聞やテレビなどの既存メディアに加え、ネット上の言論規制も進めてきた。

 ベドモスチやRBKが危機に陥っていることにプーチン政権側の意向や関与が働いていたかは、現時点で明らかになっていない。ただ、改憲の是非を問う国民投票を7月1日に控えたプーチン政権は、世論の動向に神経をとがらせている。

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