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【特派員発】泣き寝入り迫られた香港市民、広がる絶望感 藤本欣也

周庭さん(藤本欣也撮影)
周庭さん(藤本欣也撮影)
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 「無力感というより、絶望感が市民の間で広がっている」

 香港の民主活動家で、政治団体「香港衆志」メンバーの周庭(アグネス・チョウ)氏(23)は、5月下旬に中国の国家安全法の香港導入が決まった後の香港社会の状況について、こう話す。

 昨年、大規模な反政府デモが起こった「逃亡犯条例」改正案をめぐっては、香港の立法会で審議するプロセスがあったが、国家安全法については中国の全人代常務委員会が制定し、香港側で審議されないまま施行される。香港でデモを行っても、北京に直接、圧力をかけることができない。

 「国家安全法が怖いと言っているだけではだめ。反対の声を上げないと」(54歳女性)という市民もいる。だが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で集会は規制されている。そもそも、新型コロナの影響で解雇されるなどデモどころではない市民も多い。

 デモを通じて精神的ダメージを受けた学生を何人も診察してきたという40代の精神科医は、こう語る。

 「今回の国家安全法の件で私自身、移民を考えるようになりました」

 最近、移民斡旋(あっせん)会社への問い合わせが急増している。1997年の中国への返還前も、移民ブームが起きているが、移民できるのは昔も今も経済的に恵まれた一部の人々に限られる。

 返還前のように、大多数の香港市民は現実の受け入れを迫られている状況だといえる。

 「民主派や勇武派のデモ参加者にとっては問題だろうが、一般市民には影響がないのでは。生活に支障をきたすとは思えない」(30歳女性)との声もある。

 ただ、昨年6月以降の抗議デモを通して、これまで政治に無関心だった人々が「若者たちの抗議活動によって目が覚めた」と語り、デモに積極参加するケースが少なくなかった。この1年のデモが香港市民に変化をもたらしたのであれば、“泣き寝入り”を拒否する新たな動きが出てくる可能性はある。

 学生や市民が追い込まれているのは事実だ。しかし絶望の先に何が生まれるのか。まだ即断はできない。

女性と中高生の逮捕者が増加

 香港警察は昨年6月以降、8300人以上を逮捕(起訴は1600人超)しているが、女性と10代の中高生の逮捕者の割合が増加傾向にある。

 香港大新聞・メディア研究センターの調査によると、昨年6月の逮捕者のうち女性の比率は8・2%だったが、今年3月には25・5%に増えている。17歳以下の中高生の逮捕者も昨年6月が全体の9・6%だったのに対し、今年2月には29・4%に増えている。デモ参加者の層の広がりも、デモが長期間継続している要因の一つといえる。

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