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【遠藤良介のロシア深層】プーチン氏の「存在意義」喪失

19日、モスクワ郊外の邸宅から、テレビ会議に出席するロシアのプーチン大統領(ロイター)
19日、モスクワ郊外の邸宅から、テレビ会議に出席するロシアのプーチン大統領(ロイター)

 新型コロナウイルスは多くの国家指導者にとって想定外だったに違いないが、ロシアのプーチン大統領は特に割を食った。

 「コロナ前」にプーチン氏が熱を上げていたのは憲法改正だった。自身のこれまでの大統領任期を帳消しにし、通算4期目の終わる2024年以降も大統領を続けられるようにする内容を含んでいた。改憲法は3月に成立したが、プーチン氏はあえて4月22日に改憲への賛否を問う「国民投票」を行い、「圧倒的支持」を演出する手はずだった。

 戦後75年の今年、5月9日の対ドイツ戦勝記念日には例年以上の軍事パレードをモスクワの「赤の広場」で行う予定だった。閲兵する自らの両脇に、安倍晋三首相や中国の習近平国家主席、フランスのマクロン大統領といった来賓がいることを期待していただろう。

 「ソ連は欧州をナチス・ドイツから解放した」との宣伝で国民の愛国心を高揚させる。ロシアは日中や欧州の指導者から敬意を受ける大国だと誇示する…。

 全てはコロナで延期を余儀なくされ、目算は大きく狂った。ロシアは欧米諸国に遅れてコロナの猛襲を受け、累計感染者数は29万人を超えた。独立系世論調査機関によると、プーチン氏の支持率は4月、大統領に就任した2000年以降で最低の59%となった。報道が統制され、有力な対抗馬がない中での数字である。

 今回のコロナ禍でプーチン氏は、外出制限の発動などを地方首長に一任した。そうして難題からできるだけ距離を置いてきたにもかかわらず、不満はプーチン氏に向き始めている。最大の理由は経済の悪化だ。政権による企業や家計への支援表明は後手に回り、規模も小さい。今年の国内総生産(GDP)は前年比6%減と予測されており、より悪くなる可能性も高い。

 ロシアの痛手を大きくしているのが原油価格の急落である。経済多角化はかけ声倒れに終わり、資源依存の体質は変わっていない。石油・天然ガスなど燃料エネルギー部門は輸出の6割、歳入の4割を占める。原油高の時期に蓄積した国民福祉基金は2年で底をつく恐れがある。

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