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中国、周辺海域で「力の空白」突く 米国との軍事摩擦激化も 

尖閣諸島を含む東シナ海上空。手前から南小島、北小島、魚釣島。海上自衛隊の哨戒機P-3Cから=沖縄・尖閣諸島、平成23年10月(鈴木健児撮影) 
尖閣諸島を含む東シナ海上空。手前から南小島、北小島、魚釣島。海上自衛隊の哨戒機P-3Cから=沖縄・尖閣諸島、平成23年10月(鈴木健児撮影) 

 【北京=西見由章】新型コロナウイルスの感染拡大が世界で深刻化する中、いち早く感染のピークを過ぎた中国当局が周辺海域で拡張主義的な動きを強めている。米海軍が活動を低下させている現状を好機ととらえ、より自国に有利な戦略バランスを築こうとする思惑が背景にあるが、中国側の行動がエスカレートすれば米中の軍事摩擦が激化しかねない。

 中国初の空母「遼寧」は4月30日、東シナ海や西太平洋、南シナ海にまたがる1カ月近くの「機動訓練」を終えて母港の青島港に戻った。周辺海域での軍事プレゼンス拡大のほか、今月20日に就任式を控えた台湾の蔡英文総統を威嚇する狙いがあり、「今後も類似の訓練を常態的に実施する」(海軍報道官)構えだ。

 今月8日には中国の最高軍事機関、中央軍事委員会の指揮下にある海警局の船が尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の領海に侵入し、日本漁船を追尾した。

 北京の中国軍事筋は、習近平指導部が「より大胆に米側の新たな許容ラインを探ろうとしている」と指摘する。新型コロナの著しい影響を受け、米国の国際的な影響力が低下していると判断しているためだ。

 さらに、中国海軍が現在「戦略調整期」に入っていることも背景にあるという。トランプ米政権は米露の中距離核戦力(INF)全廃条約を廃棄し、中国のミサイル基地に届く中距離弾道ミサイルの開発に踏み切った。このため中国本土に配備した中短距離ミサイルを主な抑止力として米海軍を近海から追い出す「接近阻止・領域拒否」戦略が「再考を迫られている」(軍事筋)というのだ。

 笹川平和財団の小原凡司上席研究員は「南シナ海などで実効支配を徐々にエスカレートさせる中国の基本方針に変わりはない」と分析。「米軍は一時的に活動を低下させているが、その力がそがれたわけではない。力の空白が生じたと中国が認識することは危険だ」と警鐘を鳴らす。

 22日に北京で開幕する中国の立法機関、全国人民代表大会(全人代)では、中国の海洋進出を支える国防予算の伸びに新型コロナがどの程度影響するかも注目される。

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