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【国際情勢分析】トランプ政権が中国・WHOに攻め込む両面作戦 東南アジアとの連携強化で圧力

4月29日、米ホワイトハウスでの会議で話すトランプ大統領(AP)
4月29日、米ホワイトハウスでの会議で話すトランプ大統領(AP)

 トランプ米政権は、ディスインフォメーション(偽情報)工作を図る中国と、新型コロナウイルスの対応で「中国寄り」とする世界保健機関(WHO)への批判を強めている。ただ、米国は中国やWHOへの非難を声高に繰り返すだけでなく、中国が覇権拡大を進める東南アジアへの支援も強化するなど両面作戦を展開している。(外信部 坂本一之)

 トランプ大統領は4月29日にロイター通信のインタビューに応じ、11月の大統領選に関して「中国は私を敗北させるためにできることをするだろう」と述べた。

 中国の新型コロナに関する対応で、大統領選敗北を狙う意図が含まれる可能性に言及し、敵意をむき出しにした。

 トランプ政権は、新型コロナを米軍が中国に持ち込んだとする中国の偽情報工作に対して強く反発している。ポンペオ国務長官は中国外交担当トップの楊潔●(=簾の广を厂に、兼を虎に)共産党政治局員と電話会談を3月に開き、中国が新型コロナの感染拡大の責任を米国に転嫁しようとしていると直接、抗議した。

 もちろん中国が批判を受けて全面謝罪することはない。ポンペオ氏はテレビ電話形式で行った主要7カ国(G7)外相会談で、中国が新型コロナに関して誤った情報発信を行っているという認識を共有することに成功した。

 ただ、新型コロナを「武漢ウイルス」と呼ぶことについてG7メンバーから賛同を得られなかったポンペオ氏は会議後、この事実をラジオ番組で公にした。G7協議で合意が得られなかった内容を公にするのは異例だ。合意失敗を明らかにしてでも、中国を批判し続けるトランプ政権の本気度が透けてみえる。

 そしてトランプ氏は、新型コロナに関する完全な情報開示を中国に求めないWHOを「中国寄り」と批判した。米国が実施した中国からの入国停止など海外渡航規制に関してWHOが慎重だったことも問題視し、WHOへの拠出金停止を決めて圧力をかけた。

 国連機関のWHOは各国の拠出金や寄付などから運営資金が賄われている。最大拠出国の米国は、その立場を活用して強いプレッシャーをかけた形だ。元国務省幹部からは「トランプ政権の外交は乱暴だ」との声もあり、中国との関係悪化を懸念する意見もある。

 しかし、ニュースをにぎわすこうした動きとは別に、スマートな外交も展開している。

 国務省は3月末に新型コロナとの戦いに向けて東南アジア諸国連合(ASEAN)に約1830万ドル(約19億5000万円)を拠出していることを発表。新型コロナに関する米国とASEAN各国によるテレビ電話形式の外相会議を4月22日に開催し、国際協力の重要性などを確認した。

 中国がマスクや医療品などを他国に支援する「マスク外交」を展開する中、米国内の感染者が100万人を超える状況でもASEAN支援を行っている。

 東シナ海や南シナ海で海洋覇権を進め、巨大経済圏構想「一帯一路」でその影響力拡大を図る中国を抑えるためには日韓だけでなく、ASEANとの関係も重要になる。米国は、新型コロナで中国への対決姿勢を強める一方で、ASEANとの関係強化も図っている。

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