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【アメリカを読む】「原油価格マイナス」うごめく投資マネー 狙うは「伝説の投機家」二匹目のどじょう

 米紙ウォールストリート・ジャーナルによると、通称「VLCC」のタンカーを6カ月リースする1日あたり契約料は10万ドルと1年前の3倍に跳ね上がった。相場低迷時に調達した原油を保管しておき、値上がり時に売却して、もうけるもくろみだ。投機筋は、新型コロナ終息後に景気が回復し、原油需要が盛り返すとみている。原油を搭載して「売り時」を待ち構えるタンカーは、アジアや欧州、米国といった仕向け地に向かいやすい南アフリカ沖に停泊しているという。

 こうした取引は実際は、先物取引に特徴的な「コンタンゴ」と呼ばれる価格差を利用して利ザヤを得る。投資家は多くの場合、売り買いの契約を組み合わせ、リスクを回避しながら利益を得ようとしている。

 一方、同紙は、巨大タンカーを貯蔵庫代わりに使って大儲けする手法が、「伝説的トレーダー」として業界で知られているアンディ・ホール氏が考案したものだと紹介している。

 ホール氏は1990~91年、イラクによるクウェート侵攻から湾岸戦争に至る湾岸危機に際し、危機前に調達した安価な原油をタンカーに貯蔵し、それを高値で売却して巨万の富を築いた。当時ソロモン・ブラザーズの原油取引部門にいた同氏は、巨額のボーナスを受け取り、「ドイツの古城を購入した」という。

 ホール氏は昨年春、英紙フィナンシャル・タイムズのイベントで、当時の取引について「難しい仕組みじゃないが、誰もやっていなかった」と語っている。

 当時、イラクによる想定外のクウェート侵攻は「電撃的」といわれたが、同氏はフセイン・イラク大統領の好戦的な言動から侵攻を予想し、調達できたタンカーに原油を満載にした。東京のオフィスから深夜に、「(クウェートの首都に)イラクの戦車がいるとの電話を受けた」時のことをよく覚えていると述べた。

 ホール氏は原油取引の世界から手を引いており、イベントでは、電気自動車の利用拡大や、再生可能エネルギー市場の成長をみて、「人生で初めて(原油)需要の成長に疑念を抱いた」と話している。

 ホール氏の成功にあやかり、「二匹目のどじょう」を見出そうとする投機筋の思惑もからみ、足元の原油市場では混迷が深まっている。湾岸戦争時と異なり、米国は原油生産の世界トップとなり、中国が世界2位の消費国となったいま、国際情勢の分析をもとに成功を収めたホール氏なら、世界市場をめぐる力学をどう読み解くのだろうか-。

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