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【環球異見】中国、米記者を追放 環球時報「宣伝機関」認定への報復

記者会見する中国外務省の趙立堅副報道局長=2月24日、北京(共同)
記者会見する中国外務省の趙立堅副報道局長=2月24日、北京(共同)

 貿易問題や安全保障で対立する米中が、両国の報道機関をめぐっても関係悪化の火種を抱えることになった。米国務省が2月18日、中国国営メディア5社を「共産党の宣伝機関」に認定したと発表すると、中国外務省は19日、米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)の新型肺炎に関するコラムを問題視し、同紙記者3人の記者証を取り消したことを明らかにした。中国メディアは、記者追放の措置は米国への報復の側面があることも指摘している。

 □中国 環球時報

 ■「宣伝機関」認定への報復

 中国当局が米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)のコラムを問題視して記者3人の記者証を取り消したことについて、共産党機関紙、人民日報系の環球時報は、トランプ米政権が中国政府系メディア5社を「共産党のプロパガンダ(政治宣伝)機関」と認定したことへの報復という側面も認めた。

 中国の新型肺炎への対応などに触れたコラムで、共産党指導部を特に刺激したとみられるのが「中国はアジアの真の病人」という見出しだ。

 中国は19世紀後半から20世紀前半の清末・中華民国期にかけて、半植民地として蚕食された姿が欧米諸国から「東アジアの病人」と蔑称された。

 習近平指導部は「中華民族の偉大な復興という中国の夢」を掲げ、こうした歴史的汚名を払拭しようとしている。コラムの見出しが習氏らを激怒させたとしても不思議ではない。

 環球時報の2月20日付社説は「中国が新型肺炎と戦っているときに、同情して声援を送らないだけでなく、人種差別主義の文章によって苦境につけこみ、さらに打撃を加えようとした」とWSJを非難した。

 中国が同紙を制裁するのは「堪忍袋の緒が切れたからだ」と感情的な意思決定であることを認めてしまった。

 ただ中国側が記者3人の追放という極めて強硬な措置に出たのは伏線がある。

 社説は米側による「宣伝機関」認定と中国側の追放措置がほぼ同時に起きたことは「完全に偶然ではない」と関連をにおわせている。

 その後、トランプ政権が対抗措置として米国に駐在する中国人の記者数十人以上を追放するか検討していると伝えられると、26日付の同紙社説はさらに被害者意識をあらわにした。

 「米メディアが中国を罵(ののし)り、米国政府は絶えず中国メディアに圧力を加えているのに、われわれは怒りを示してはならないのか?」

 社説は、その自問への答えがWSJの記者3人への処罰だとし、米側の「宣伝機関」認定が背景にあったことを認めた。

 ただ中国側は、米国のこうした措置が自ら招いた結果だということを認識しなければならない。海外メディアに対し、ビザ発給や取材機会を制限して圧力を加えるのは中国の常套(じょうとう)手段だ。

 外交は相手国やその国民に、自国に対する待遇と同等の待遇を与える「相互主義」が原則である。中国と民主主義国のメディアがそれぞれ相手国で享受できる情報アクセスの権利には大きな格差がある。(北京 西見由章)

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