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拉致濃厚、藤田進さんの95歳父死去 「もうすぐ会える」願いかなわぬまま 被害家族高齢化、募る焦燥感

北朝鮮に拉致された疑いが濃厚な藤田進さんのパネルを手に拉致問題解決を訴える父の春之助さん。車いすに乗って署名活動の会場に駆けつけた=9月1日、埼玉県川口市内(家族提供)
北朝鮮に拉致された疑いが濃厚な藤田進さんのパネルを手に拉致問題解決を訴える父の春之助さん。車いすに乗って署名活動の会場に駆けつけた=9月1日、埼玉県川口市内(家族提供)

 北朝鮮による拉致の可能性が排除できない特定失踪者、藤田進さん(63)=失踪当時(19)=の父、藤田春之助(ふじた・はるのすけ)さんが20日、老衰のため、95歳で亡くなった。拉致問題が進展せず肉親との再会がかなわない中、被害者家族の高齢化が懸念されて久しい。特定失踪者の家族もまた同じ状況で、焦燥感は募る一方だ。

 春之助さんの次男、進さんは東京学芸大1年だった昭和51年2月7日、「ガードマンのアルバイトで新宿方面に行く」と、家を出て消息を絶った。妻を早くに亡くした春之助さんは子供を男手一つで育てた。学業優秀、スポーツ万能で家族思いの自慢の息子だった進さんが失踪し、春之助さんは「育て方が悪かったか」と長い間苦悩したという。

 平成14年の日朝首脳会談で北朝鮮が日本人拉致を認める。「兄も拉致されたのでは」。進さんの弟、隆司さん(61)が春之助さんに代わり、救出運動に乗り出した。北朝鮮による拉致を調べている特定失踪者問題調査会(荒木和博代表)によれば、進さんの失踪状況や、その後の関係者証言は拉致を強く推認させるもので、同調査会は「拉致濃厚」リストに加えた。

 警察当局が摘発した事件などから、進さんの自宅があった埼玉県川口市周辺には北朝鮮工作員の拠点が点在していたことも判明。16年には脱北者が北朝鮮から持ち出した写真が進さんと同一人物の可能性が極めて高いと専門家に鑑定され、家族は救出を訴えた。警察も捜査を継続したが、進さんの最後の足取りが確認できないことなどから、拉致認定には至っていない。

 「ああ、これで家に帰って来るな。もうすぐ会えるのかな」。鋳物職人で、極端に口数が少なかったという春之助さんだが、進さんとされる写真が出たとき、ポツリと語ったという。だが願いはかなわなかった。近年は体調もすぐれず、認知症も進んでいた。隆司さんは「父に意識があるうちに、兄に会わせたかった」と悔しさをにじませた。

 春之助さんの通夜は26日午後4時、告別式は27日午前10時半、埼玉県川口市川口2の14の1、セレモニー川口ホールで。喪主は三男、隆司(たかし)さん。

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