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【世界裏舞台】作家・佐藤優 「高大接続」の深刻な問題

佐藤優氏
佐藤優氏

 中長期に日本の社会と国家を強化するのに重要なのが教育だ。そういう思いが募ってきたので、平成28年から同志社大学神学部、29年から沖縄県名護市の公立名桜大学、30年からは同志社大学生命医科学部と埼玉県立浦和高校で教壇に立つようになった。高校が加わったのは、大学で教えているうちに「高大接続」に深刻な問題があると感じるようになり、高校の教育現場を知りたくなったからだ。

 教壇に立つようになってから、自分が教える学校以外の大学生、高校生、教師たちからもさまざまな相談を受けるようになった。こうした経験を通じて、日本の教育が抱える構造的問題が皮膚感覚で理解できるようになってきた。

 第1は、偏差値教育がもたらす疲れだ。偏差値には加熱と冷却の機能がある。教師も保護者も「少しでも偏差値の高い難関校に入れ」と子供の勉強熱を上げる。入試が近づくと、進路指導の教師が「君の成績だとこのレベルの学校が限界だ」と子供の気持ちを冷却させる。中学入試、高校入試、大学入試と加熱と冷却を繰り返すうちにほとんどの生徒と学生が勉強嫌いになってしまう。この感想を同志社大学の松岡敬学長に話すと「僕は機械工学の専門家だからその雰囲気はよくわかる。加熱と冷却は、金属にヤキを入れることだ。これを繰り返すと脆(もろ)くなって折れやすくなる」という反応だった。このアナロジー(類比)が偏差値教育の問題点をよく表している。

 第2は、高校の早い段階で文科系、理科系に分かれてしまっているため、大学教育についていくために不可欠な基礎知識が欠けていることだ。文科系の学生は数学が弱く、理科系の学生は歴史と国語が弱い。現下高校の教育体制から生じる構造的問題なので、個々の学生に責任はない。入学を認めた以上、高校レベルの学力欠損を埋めるのは大学の責任だが、大学関係者の当事者意識が薄い。

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