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トルコ越境攻撃でISの勢力回復に危機感

11日、シリア北西部のラス・アルアインから北部のテルアビヤドにかけての国境地帯で上がった爆煙=トルコ側から撮影(ロイター)
11日、シリア北西部のラス・アルアインから北部のテルアビヤドにかけての国境地帯で上がった爆煙=トルコ側から撮影(ロイター)

 【カイロ=佐藤貴生】トルコがシリア北部への軍事攻撃を開始したことで、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)が勢いを取り戻すのでは-との見方が強まっている。トルコが攻撃している少数民族クルド人主体の民兵組織「シリア民主軍」(SDF)は、支配地域で1万人以上のISの元戦闘員を施設に収容しており、トルコの攻撃開始により監視体制が甘くなりかねないとの懸念が背景にある。

 フランスのルドリアン外相は10日、IS掃討を目指す有志連合の参加諸国に対し、緊急会合を開いて対応を協議すべきだと述べた。

 英BBC(電子版)は、SDFは現在、外国人4000人を含むISの元戦闘員1万2000人以上を7カ所の施設で収容、監視しているとし、「最も差し迫った危機は脱獄だ」との見方を示した。

 SDFの収容施設は監視の目が行き届かず、ISの信奉者がイデオロギーを拡散させる温床になっているとの指摘は以前からあった。実態は不明だが、大規模な脱獄が起きればシリア内戦の混迷がさらに深まる可能性が大きい。

 また、SDFはトルコによる攻撃が始まった9日、応戦するためにISの残存勢力との戦闘を停止したと述べた。米国の識者はロイター通信に、「ISの指導者であるバグダーディ容疑者は、間違いなくこのときに備えてきた」との見方を示し、事態の流動化がISに勢力を回復する隙を与えるとして懸念を示した。

 SDFを支援してISの掃討を進めてきた米政権は3月、「シリアにおけるISの支配地域をすべて奪還した」と表明した。しかし、欧州などの元戦闘員の出身国は受け入れに難色を示し、裁判や処遇に関する国際的な基準も確立されていないのが実態だ。トルコの攻撃で元戦闘員の帰還をめぐる問題の深刻さが浮き彫りになっている。

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