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北工作員遺体漂着の「能代事件」 元捜査員が初証言 「恐怖で震えた」

 ■拉致犯も秋田から侵入

 秋田県沿岸には北朝鮮工作員が侵入、離脱したとみられる地点が数多いことが警察の捜査などで判明している。第2次能代事件と同時期の昭和38年5月、八峰町(旧八森町)の海岸から工作員が密入国し、翌39年に愛知県警に逮捕された「一宮事件」が発生。ほかにも、侵入地点と疑われる場所が多く存在する。

 実際に拉致事件の実行犯も上陸。昭和53年7月に蓮池薫さん(62)、祐木子さん(63)夫妻を拉致したとして国際手配されているチェ・スンチョル容疑者は45年に男鹿市の海岸から侵入している。

 県内の失踪者を地理的、状況的に検討すると、拉致問題について調べている特定失踪者調査会が、「拉致の可能性が濃厚」とする根拠が理解できる。

 平成4年1月15日、北秋田市(旧合川町(あいかわまち))から市中心部の鷹巣(たかのす)地区へ1人で車で出かけた松橋恵美子さん(54)=失踪当時(26)=は、失踪から4日後、能代市内の「落合浜」でキーが付いたままの恵美子さんの車が見つかり、車内に財布や化粧道具、ジャンパーが残されていた。

 給油の伝票には、失踪当日に2回給油した記録があったが、落合浜や鷹巣地区に行くだけならば不要な量。助手席側のドアにはへこみがあり、別人が強引に乗り込んできて車を乗り回した可能性がある。

 拉致解決に取り組む「救う会秋田」の伊藤見一さんは、秋田沿岸が工作員の上陸ポイントとして利用された背景として、地形的な特徴に着目。日本海に突き出した男鹿(おが)半島など「目標にしやすいポイントがあった」と分析する。

 恵美子さんの母親のチヤさん(77)は21年に夫、22年には自身の母を相次いで亡くし、心細さを口にする。「なんとか声だけでも聞きたい」。思いは27年、変わっていない。

 ◇能代事件とは

 秋田県能代市の海岸で昭和38年春、密入国を図って失敗、水死したとみられる北朝鮮工作員計3人の遺体が2度にわたり相次いで見つかったスパイ事件。秋田県警は4月1日の2遺体発見を「第1次能代」、5月10日の1遺体発見を「第2次能代」と命名し、氏名不詳の3人を出入国管理令違反容疑で容疑者死亡のまま書類送検。秋田地検は11月21日、3人を不起訴処分(容疑者死亡)とした。

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