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【千夜一夜】「カイロ=大阪」説

カイロの町並みとナイル川=9月(ロイター)
カイロの町並みとナイル川=9月(ロイター)

 「東京で地下鉄に乗ったら誰も一言も話をしていなくて驚いた。大阪ならおばちゃんが『あんた、どこから来たの?』とか話しかけてくれるのに」。大阪に留学経験があるカイロのエジプト人女性がいった。「東京は寂しい街」という彼女は断然、大阪ファンだ。

 カイロにいると、「確かにこの街は大阪に似ているかも」と思う。とにかく人との距離感が東京に比べて異様に近い。ジョギングしていると大声で声援を送る人や一緒に走り出す子供がいる。通りで友人と腹を抱えて爆笑している大人や、車の接触事故で大声を張り上げてけんかしている男たちもあちこちで目にする。

 カイロは今も昔も中東とアフリカを結ぶ交通の十字路だ。渋滞と喧噪(けんそう)と人いきれと、ついでにゴミも街中にあふれ、猛烈な熱気を発している。多彩な人々を受け入れてきた懐の広さのようなものを感じる。

 赴任当初はおせっかいで騒がしい人々に疲れたりしたが、一時帰国して東京で地下鉄に乗ったとき、みな黙ってスマホをいじっているのを見て私も息苦しくなった。爆発事件や反政府デモもあるが、カイロには誰でも思い思いに感情をはき出せる自由がある。それは東京が忘れてしまった大切なものではないだろうか。

 最近ようやくこの街の心地よさが分かってきた。(佐藤貴生)

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