PR

ニュース 国際

【ベルリンの壁崩壊30年】(3)欧州平和の幻影 対露抑止より対話

 「政治的意味がある。だからノルドストリームに賛成だ」。そう語るのは東西ドイツ統一を果たしたコール元首相の外交顧問だったホルスト・テルチク氏(79)。ロシアを含む欧州の戦争の歴史を踏まえれば、「欧州の持続的な平和はロシアとの対決でなく、ロシアとともにしか構築できない」とみるためだ。

 テルチク氏はそのために対話や協力関係の継続が不可欠で、ノルドストリームはその一環とする。対露経済制裁にも反対だ。ドイツではロシアと敵対しても孤立させないのが「大半の政党のコンセンサス」(フォイクト氏)で、世論も7割以上がノルドストリームを支持。「ロシアにはもっと接近すべきだ」との意見も5割を超える。

 制裁導入を主導するなど厳しい態度をとるメルケル氏も「対話の糸を切ってはならない」とし、ロシアを欧州に引きつけるためノルドストリームなど経済関係維持は必要だとする。

 だが、「ジャーマン・マーシャル基金」のヤン・テヒャウ上級研究員はドイツが対話重視に傾きがちな背景に、西独が1970年代に進めた「東方外交」と呼ばれる緊張緩和策への「過大評価」があるとみる。当時のブラント政権は「接近による変化」を掲げ、断絶していた東独など共産圏との関係正常化を推進した。

 ドイツでは米国との軍拡競争による旧ソ連の疲弊より東方外交の方が冷戦終結に貢献したとの見方が強いというが、テヒャウ氏は「東方外交は米国の強い核抑止力があり可能だった。抑止と対話は一つの戦略なのに、強い立場をとることを忘れている」と語る。

 独外交政策評議会のステファン・マイスター氏も、今のロシアに接近しても「政治的変化はもたらせられない」と強調。ドイツがロシアと対等な交渉をするには、ノルドストリームを「取引材料」にするほどの覚悟が必要と指摘した。(独北東部ルプミン 宮下日出男)

関連トピックス

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ