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米に対話打診直後に飛翔体発射、正恩氏の思惑は? 総参謀長に異例の起用も

北朝鮮による飛翔体発射を報道するテレビを見る韓国の市民ら=10日、ソウル(AP)
北朝鮮による飛翔体発射を報道するテレビを見る韓国の市民ら=10日、ソウル(AP)

 【ソウル=桜井紀雄】北朝鮮は米国に対し、今月下旬にも協議に応じる用意を表明した直後の10日、新型兵器とみられる飛翔体を発射した。一見、チグハグに思える対応の裏にも、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長独特の計算法が垣間見える。

 突然の人事発表だった。北朝鮮の党中央軍事委員会が6日、金氏出席の下、台風13号に対応するための非常拡大会議を開いたが、その席で朝鮮人民軍の朴正天(パク・チョンチョン)陸軍大将を、軍事作戦を統括する総参謀長に任命し、参謀部作戦総局幹部の入れ替えが決められたのだ。

 朴氏は砲兵局長を務め、金氏による短距離弾道ミサイルや放射砲(多連装ロケット砲)試射の視察に同行してきた。通常、野戦軍出身者が担う総参謀長職への砲兵出身者の起用は異例で、金氏の短距離ミサイル開発に懸ける強い意志を示したと分析されている。

 党機関紙、労働新聞は、8月24日の「超大型放射砲」試射の際、安全な場所に移るようにとの周囲の制止を聞かず、最も近くで発射を見届けようとした金氏の姿を描いている。一連の新兵器実験について、同紙は「(金)元帥はいかなる試練の中でも国防力強化の道を一寸のぶれもなく歩み続けている」と強調した。

 米国との非核化交渉には軍部内に反発が強く、2月の米朝首脳会談の物別れでは北朝鮮国内でも動揺が広がったとされる。9日夜に米国に協議の用意を表明した直後の10日朝に飛翔体を発射したのは、協議に臨んでも「国防のための新型兵器開発はやめない」とのメッセージをトランプ米政権だけでなく、軍部など国内に向けても発信した形だ。

 対米協議と新兵器開発の“新たな並進路線”を内外に公言し、金氏が自らの外交・安全保障路線を正当化しようという思惑もうかがえる。トランプ大統領が北朝鮮の短距離弾道ミサイル実験を問題視しない姿勢を維持する一方で、北朝鮮は米韓合同軍事演習やステルス戦闘機の韓国配備を繰り返し非難しており、今後の協議では、北朝鮮が在韓米軍の扱いを含めて安保上の譲歩を米側に求めていく事態も想定される。

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