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【遠藤良介のロシア深層】プーチン流「疑似民主主義」

ロシア極東アムール州で会合を開くプーチン大統領=6日(タス=共同)
ロシア極東アムール州で会合を開くプーチン大統領=6日(タス=共同)

 ロシアの地方知事らがクレムリンでプーチン大統領と面会する際、ある物を非常に恐れている。「緑のファイル」と呼ばれる。プーチン氏がこれを手に現れたら、知事は近くクビになるか、そうでなくとも相当に厳しい叱責を受ける。

 緑のファイルはプーチン氏のえんま帳である。書類には、当該地方の問題点や知事の評点が詳細に記されている。大統領府や情報機関が調べた現地情勢に加え、世論調査や住民の「直訴」も反映されている。

 住民の抗議機運が強いなど知事の働きぶりに「難あり」と判断されれば、緑のファイルの出番となる。

 8日にロシアで統一地方選が行われた。今回は州や共和国、特別市など85ある連邦構成体(自治体)のうち16構成体で知事など首長の選挙があった。首都モスクワの市議選など地方議会の選挙も多数行われた。

 強権体制のイメージが強いため、こうした選挙が行われていること自体が意外かもしれない。選挙は確かに行われているのだが、実態は管理選挙による「疑似民主主義」である。

 首長の直接選挙は2004年に廃止され、12年に復活された。11年末からモスクワで大規模な反政権デモが起き、政権は懐柔策として選挙を再開したのだ。ただ、首長の解任権はプーチン氏にあり、事実上の任命制が続いている。

 8日に首長選が行われた16構成体のうち実に13カ所では、前任の首長が任期途中で解任され、プーチン氏によって新たな「首長代行」が任命されていた。その地方と全く縁のない者が据えられることも多い。

 ロシアの選挙では現職が圧倒的に有利だ。報道での露出度が非常に高く、政権や地方当局は、公務員や国営企業の従業員を投票に大量動員できるためである。

 プーチン氏は「選挙は危うい」と思われる首長を事前に退任させ、「首長代行」を有利な現職の立場で選挙に臨ませるのである。

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