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【三井美奈の国際情報ファイル】欧州の“主役”狙う仏 マクロン流で「独自外交」復活

 トランプ氏とは、個人的な関係作りに努めた。米大統領選を来年に控え、「イランとの武力衝突は絶対に避けたい」という本心を見逃さなかった。サミット直前、2人だけの昼食会に招いた。対イラン強硬派のボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)ら側近を遠ざけ、イランとの「取引」を訴えた。

 マクロン氏が目指す外交は何か。まず、強い欧州を築くこと。そのためには、ロシアとの関係改善は不可欠だと主張する。さらに、欧州の米国依存からの脱皮を目指す。

 その方針は8月末、サミット終了翌日の演説で示された。EUは、ロシアのウクライナ領クリミア半島併合以降、対ロシア制裁を続けているが、マクロン氏は「ロシアは欧州の一員」だと訴えた。米中二極化が進む世界で、「欧州はこのままでは消滅する」と危機感を示し、EUを独自の「極」とすることを目指した。欧州の啓蒙(けいもう)主義、人道重視の歴史に触れ、「われわれの文明は米国とは違う」と言い切った。

■EUに亀裂も

 マクロン氏があまり突っ走ると、EUに亀裂が走りかねない。北欧や東欧は、ロシアの脅威に直面し、フランスとは対露警戒感が違う。英国は、米主導の北大西洋条約機構(NATO)を重視する。

 仏国営ラジオの政治記者、フレデリック・サイス氏は「マクロン氏はドイツやベネルクス(ベルギー、オランダ、ルクセンブルク)など方針を共有する国とともに、進もうとするだろう。EU分断は織り込み済み。西欧主導のEUは、仏の外交方針にかなう」と指摘する。

 マクロン外交は現在のところ、日本にも好都合だ。中国に対抗するインド太平洋の安全保障、北朝鮮に対する制裁維持、ロシアとの対話など、日仏は不思議なほど立場が似ている。サミットでマクロン氏は、トランプ氏と仲がよい安倍晋三首相にも頼った。イラン対話で「安倍首相、私はそれぞれに努力している」と述べ、「スタンドプレー」という批判をかわした。

 現在のフランスは、経済や人口規模では日英独を下回る中堅国。外交パワーで、国力を超えた影響力を駆使できるか。41歳の若き大統領にかかっている。(パリ支局長)

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