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【三井美奈の国際情報ファイル】「仮想通貨大国」目指すスイス FB「リブラ」は上陸するか

 リブラは「金融システム外に置かれ、銀行口座を持たない17億人」を視野に入れる。発行を始めれば、スイスが名実ともに仮想通貨の世界的中心地となるのは間違いない。

 リブラの「本社」は観光客でにぎわうジュネーブのレマン湖畔にある。路面電車の駅前に立つ6階建てビルに今年5月、FBは「リブラ・ネットワークス」を法人登記した。資本金は2万スイス・フラン(約216万円)だ。

 ビル1階はIT起業家の共有オフィス。上階にフィンテック企業が入居するが、リブラの表札はない。受け付けで尋ねたら、「ここに連絡して」とリブラ広報のメールアドレスを渡された。7月、米上院公聴会でFBのリブラ担当者が追及されると、スイス情報当局は数日後、「FBに個人情報の扱いを照会中だ」と発表した。米国の動きにピリピリしているようだ。

 仮想通貨については、7月の主要7カ国(G7)財務相・中銀総裁会議が「最も高い水準の規制を満たすべき」との方針で合意。中国や韓国は「イニシャル・コイン・オファリング」(ICO)と呼ばれる仮想通貨の新規公開を禁止している。

 スイスは、国際規制の先手を打ち、独自のルールを定めることで仮想通貨取引のつなぎとめを狙う。昨年2月にはICOのガイドラインを策定。金融機関向けのマネーロンダリング防止法を援用する仕組みを作った。昨年だけで、金融当局へのICOの申請・打診は155件に上る。

 スイスがあえて独自の道をたどるのは、歴史的な中立国で、世界中のNGOが集まる国柄にも起因する。仮想通貨には、貧困層支援への期待も大きい。「リブラ協会」に参加する米NGO「女性の世界バンキング」の広報担当者は、「銀行口座を持つことのできない女性は10億人近い。リブラの将来は分からないが、彼女たちが金融に手が届くようになれば、一つの希望になる」と話した。

 仮想通貨への国際規制が強まれば、スイスは先手先手で圧力をかわし、イタチごっこが続くだろう。アルプスの小国はしたたかに生き残り策を探っている。(パリ支局長)

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