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【から(韓)くに便り】夏がくれば思い出すこと 黒田勝弘

 ソウル駐在初期にあたる1982年8月15日(光復節)の韓国の新聞には「今年の夏はこれまでのどの夏より暑くていらだたしい」という社説が出ていた。当時、日本の歴史教科書の記述がケシカランといって官民挙げて反日運動が盛り上がっていた。これでいくと今年も「どの夏より暑くていらだたしい」ということになりそうだ。

 マスコミは連日、反日キャンペーンを展開し、街ではタクシーが日本人客を乗車拒否したり、食堂が「日本人客出入り禁止」の張り紙を出したりで結構盛り上がった。「最悪の日韓関係」といわれ双方で解決策が模索された。

 その際、韓国側で出てきたのが「反日から克日へ」の方向転換だった。反日感情を日本に向け単に爆発、発散させるのではなく、「日本に打ち勝つ」「日本を克服する」という方向に向かうべきだというのだ。後に一般化する「克日」という言葉はこの時に生まれたのだが、当時マスコミはさらに「敵に勝つためには敵を知らなければならない」「克日のためには知日だ」といって、過去の歴史のみならず現在の日本を知るための特集を競って伝えた。

 この時の反日感情は官民挙げての「独立記念館建設国民募金運動」によって収拾され、その独立記念館は今、ソウル南方の忠清南道(チュンチョンナムド)・天安(チョナン)の広大な敷地に存在する。

 当時、新聞の識者座談会で女流作家の鄭然喜(チョン・ヨンヒ)氏が「克日」について語った痛切な(?)言葉が今も記憶に残る。

 「克日運動という言葉を聞いた後、ずっと気分がすっきりしない。解放後数十年過ぎたというのに、われわれの意識を引き締めるのにまだ日本という刺激が必要なのだろうか。克日という言葉には日本を意識しなければならない、彼らを何か基準か目標のように考えなければならないかのように強要する感じがある。日本をあまり意識することはかえって日本に縛られるという点で、克日より自らに勝つ克己が優先されるべきだと思う」

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