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イエメン内戦「泥沼化」 サウジ皇太子にもたらす危機 

サウジアラビアのムハンマド皇太子=5月30日(ロイター)
サウジアラビアのムハンマド皇太子=5月30日(ロイター)

 【カイロ=佐藤貴生】イエメン内戦への軍事介入を主導してきたサウジアラビアのムハンマド皇太子が危機に直面している。サウジとともに戦ってきたアラブ首長国連邦(UAE)がイエメンの前線から撤収し始め、内戦での勝利が難しくなったからだ。内戦はサウジなどがイランの影響下にあるイスラム教シーア派民兵組織、フーシ派と戦う構図。サウジが、皇太子の面目が傷つく形で撤退するとは考えにくく、米国にとってのベトナム戦争と同様、サウジの国力を衰退させかねない事態となっている。

 サウジやUAEは2015年、フーシ派と敵対する暫定政権を支援し内戦に介入。ロイター通信は今月中旬、バベルマンデブ海峡に近いイエメン中部ホデイダ港周辺の軍事拠点2カ所の指揮権がUAEからサウジ側に移譲されたと伝えた。

 サウジはイエメンと長さ1300キロもの国境を接し、無人機によるフーシ派の越境攻撃も続く。UAEと違い、内戦はサウジの安全保障に直結している。

 こうした中、19日にはサウジが同国内への米軍駐留を承認したと報じられた。米軍のサウジ駐留は約16年ぶり。イランやフーシ派に対する米、サウジの強い危機感がうかがえる。

 ただ、米紙ニューヨーク・タイムズは20日付で、皇太子が米国に特殊部隊や軍事顧問の派遣などの支援を求めてきたとの外交筋の見方を伝えた。地上戦を担ったUAE軍に対し、空爆が主任務だったサウジ軍の指導力には、共闘する民兵組織からも疑問の声が出ているという。

 自尊心が高いといわれるムハンマド皇太子の性格からみても、サウジが“負け戦”の印象のまま内戦から撤収する事態は想定しがたい。半面、戦闘を継続すれば戦費がかさみ、原油依存からの脱却を図る構造改革の停滞は免れない。

 皇太子はかつて改革の旗手として脚光を浴びたが、王族や富豪らを汚職罪で一斉摘発したり、反体制記者殺害事件への関与も疑われたりしてクリーンなイメージは失墜。泥沼化するイエメン内戦での勝利に固執し続ければ、石油大国サウジの国際的な評価を下げる結果にもなりかねない。

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