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S400導入 米は露への機密流出を懸念 トルコとNATOの断絶狙うプーチン露大統領

 【ワシントン=住井亨介、カイロ=佐藤貴生】トルコによるロシア製防空システム「S400」の導入問題で、トランプ米政権は最新鋭ステルス戦闘機F35の開発計画からのトルコ排除を決めた。ともに北大西洋条約機構(NATO)に加盟する両国の関係への打撃より、米欧が主導してきた国際安全保障上の機密がロシア側に渡る危険性を重視する判断といえる。

 米政権の方針表明をめぐり、トルコ外務省は18日、NATOを通じた両国の戦略的関係を損なう誤った判断であり、正当な根拠に基づいていないとし、再考を求める声明を出した。

 トルコのエルドアン大統領は6月下旬、大阪の20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)の場でトランプ大統領と会談した後、「米政権は制裁を行わない」との感触を持ったと強調していた。対米関係が悪化すれば経済の低迷に拍車がかかり、エルドアン氏の政権運営が厳しくなる恐れがある。トルコは今後、関係が冷え込んでいる米欧と距離を置き、ロシアとの関係をさらに強化する公算が大きい。

 S400は地対空ミサイルと移動式発射台、レーダーが連動する防空システムだ。航空機などが敵のものかを識別してミサイルを発射するため、レーダーを含めて全面稼働すればNATOの防衛システム上の機密がロシア側に流出する可能性がある。

 また、S400とF35を併用した場合、ステルス機能を含むF35の詳しいデータも収集される恐れもあり、こうした機密がロシア側に渡ることへの懸念が米側の判断の背景にある。

 米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は「S400の売却を進めたプーチン露大統領の狙いは、トルコと他のNATO諸国との断絶だ」と指摘した。ロシアは近年、勢力圏の維持・拡大のためバルト三国や東欧諸国への浸透を図ってきた。NATOの一角を占めるトルコの取り込みにも奏功しつつあることは、米欧が旧ソ連・ロシアを念頭に構築してきた国際安全保障戦略の見直しを迫られることを意味する。

 エルドアン氏はトランプ氏との首脳同士の信頼関係にしばしば言及しており、S400とF35の併用について今後も同氏と協議する機会を模索するとみられる。ただ、国際的な軍事バランスの変動にかかわる話題だけに事態は決して楽観できない。

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