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日米安保条約めぐるトランプ発言 米国内にも衝撃

 トランプ米大統領が6月末、大阪での20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)に際し、日本が米国の防衛義務を負わない日米安全保障条約を「不公平だ」と断じた発言は日米双方で同盟のあり方をめぐる議論を巻き起こしている。

 一部の米報道でトランプ氏が「条約破棄」に言及したとされることは、ワシントンで対日政策に関わる官僚や研究者にも衝撃だった。実際の破棄には否定的な見方が支配的だが、日米同盟の「片務性」解消に向けた条約改正の議論が活発化する可能性もある。

 地政学研究の第一人者である米戦略家、エドワード・ルトワック氏はトランプ氏の発言を「雑音に過ぎない。トランプ氏の言葉が常に米政権の政策を反映しているわけではない」と述べ、日本は過剰反応すべきでないと強調する。

 別の米戦略問題研究者は「同盟の結束を担保するものは、同盟国の間で相対的に力が弱い国が抱く『捨てられることへの恐怖』だ」と指摘。日米同盟の取り決めを米国に有利にする駆け引きをトランプ氏が展開していると分析した。

 安保条約と日米同盟が東アジアや世界の安全、安定に不可欠との認識は米政府や議会で深く浸透しており、仮に条約破棄がトランプ氏の本音だとしても、破棄に向けて実質的に動くとの見方は非常に少ない。

 日本での勤務経験がある元国務省高官で現在はダニエル・モーガン国家安全保障大学院副学長のトーマス・シンキン氏は、仮に安保条約が破棄され在日米軍が撤収すれば「米国自身も重大な困難に直面する」と訴える。在日米軍は総勢約5万人という規模の大きさからグアムやハワイにそのまま移転させることは難しく、部隊の大半は米本土に帰還する。米軍の後退による即応態勢の低下は東アジアの安全保障に深刻な打撃を与えかねない。

 米政府が抱くさらなる懸念は、条約破棄を受け日本が核武装に走ることだ。シンキン氏は「日本政府は、日本が米国の核の傘に入っている限り日本の核武装はないと言ってきた。だが、これは『米国の核の傘がなくなれば核武装する』という無言のサインとも読み取れる」と指摘した。

 トランプ政権は今後、在日米軍駐留経費の日本側負担のさらなる拡大、日米安保条約の改正も視野に入れた条約の片務性あるいは非対称性の解消を期待してくるとみられ、日本としてどのように取り組みを進めるのか積極的に提示していく必要がありそうだ。(ワシントン 黒瀬悦成)

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